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ベースボールゼミナール

すべての球種を同じフォームで投げるのは難しい?/元阪神・藪恵壹に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は投手編。回答者はメジャー・リーグも経験した、元阪神ほかの藪恵壹氏だ。

Q.プロ野球のテレビ中継を見ていると、「このピッチャーはストレートと変化球のすべての球種が同じフォームで打ちづらい」という話を解説者の方がしていました。“同じフォーム”で投げるのは難しいのでしょうか。(東京都・24歳)



A.すべてのピッチャーが目指す究極の理想です。それほど難しく、プロでもクセが出てしまうことも。



 すべての球種を同じフォームで投げることは、すべてのピッチャーが目指す究極の理想です。それほど難しいもので、プロでもストレートと変化球では明らかに異なるクセが出てしまうピッチャーも多くいます。かくいう私も現役時代はそうでした……。

 そもそも、なぜすべての球種を同じフォームで投げることを目指すのか。話は単純で、ストレート、カーブ、スライダーでフォームが微妙に異なってくると、打席にいるバッターに気付かれてしまうからです。球種が相手にばれている中で投げることほど怖いことはないのは、分かっていただけると思います。

 特にプロの世界では例えばピッチャーならば持ち球、球質、配球や攻め方にとどまらず、球種ごとのクセ、さらにけん制のクセなどについてもスコアラーが事細かに調べ上げ、さらにプレーしている選手もベンチからじっくりと観察しています。そこで明らかな違いなどがあれば、ミーティングで周知徹底がなされ、チーム一丸となって攻略を試みるのです。

 ですから、ピッチャーの多くがフォームから相手に球種が分かってしまわないように、日々の練習から気をつけています。投手コーチやキャッチボールなどのパートナーに注意深くチェックしてもらい、問題があれば指摘し合うことなども日ごろから行っていますね。

 一番違いが表れやすいのがカーブです。リリースのタイミングで手首をひねったり特殊な動きをする、ストレートとは異なるアクションを行う球種はなかなか難しいですね。逆を言えば、チェンジアップなど握りを変えるだけでストレートと同じ腕の振り、リリースをする球種は“同じフォーム”で投げやすく、海外では初めて覚える変化球がチェンジアップというのは、理に適っています。

 それ比べて日本では最もストレートとはかけ離れたカーブを真っ先に覚えようとするのですから、(ケガ防止という意味でも)そろそろ考えをあらためなければいけません。

 私はフォークを投げるときにクセが出ていました。力んで、「いーっ」と口元に力が入るんだそうです。もちろん、そのクセを直そうとしましたが直らず、最終的にはこれを逆手にとって、わざと「いーっ」としてストレートを投げたりして対応するようにしました。最終手段ですが、ありだと思います。

●藪恵壹(やぶ・けいいち)
1968年9月28日生まれ。三重県出身。和歌山・新宮高から東京経済大、朝日生命を経て94年ドラフト1位で阪神入団。05年にアスレチックス、08年にジャイアンツでプレー。10年途中に楽天に入団し、同年限りで現役引退。NPB通算成績は279試合、84勝、106敗、0S、2H、1035奪三振、防御率3.58。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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