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異次元の角度――。リーグ戦初勝利を挙げた早大の六大学史上“最長身”サウスポー

 

1年間で最速147キロに


早大2年生の2メートル左腕・今西は東大1回戦でリーグ戦初勝利を挙げた。試合後、報道陣の取材も、さすがに“見下ろして”対応した


 東京六大学リーグが始まったのは1925年秋。90年以上の歴史を重ね、記録には残っていないが、おそらく最長身サウスポーだろう。

 早大の2メートル(90キロ)左腕・今西拓弥(2年・広陵高)が東大1回戦でリーグ戦初勝利を挙げた。0対0の9回表から主将の左腕・小島和哉(4年・浦和学院高)を救援。三者連続空振り三振で自チームに流れを呼ぶと、その裏、代打・田口喜将(3年・早実)のサヨナラ打で、初白星が転がり込んできた。

 今西は神宮デビューした昨秋のリーグ戦でも6試合に登板。通算10試合目での初勝利も「本来は(8回無失点に抑えた)小島さんの勝利なので、おいしいところを持っていった感じで……」と、8回3安打無失点に抑えた先輩を気遣っていた。

 高校時代の最速は136キロ。「走り込んで、投げ込んだ」と、1年間で最速147キロにアップし、早大・高橋広監督は今春を前に「先発でもいける」と構想していた。だが、2月下旬のオープン戦で左ワキ腹を痛め、約1カ月戦線離脱。「筋肉痛だと思っていたんですが……」。痛みが引かず、病院で診察してもらうと、疲労骨折が判明した。3月の沖縄キャンプには帯同せず、東京の残留組と調整を重ねた。「一歩離れて、いろいろと考えることができた」と、リハビリ期間は自身と向き合う貴重な時間となった。

 4月上旬に戦線に戻り、リーグ戦に照準を合わせてきた。開幕後、3試合すべてリリーフで計3回無失点。好調を持続させて4試合目の登板となった東大1回戦で“形”を残した。

 早大は開幕カードの立大戦で連敗し、明大との2カード目も1勝2敗で勝ち点を落とした。「ここから連勝でいくしなかい」と自覚あるコメントを残した今西が今後、早大投手陣を支えていく立場となるかもしれない。

 一塁ベンチ裏での取材を終え、荷物を持って引き揚げる今西。途中、頭をぶつけそうになりそうになったが、うまいことくぐって、ロッカールームまでの階段を上がっていった。腕の位置は高校時代から変わらないスリークオーターも、2メートルの長身から繰り出され、腕も長いため、打者から見た打ちづらさは半端ではない。異次元の角度――。「身長? もう止まりました」と笑った今西の今後の成長から目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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