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東海大が5季ぶりのリーグV!「強い東海」の復活を遂げた安藤強監督の手腕

 

自主性を尊重する“社会人スタイル”


東海大は武蔵大2回戦で連勝し、5季ぶり70度目の優勝。就任2年目の安藤監督はナインの手によって宙を舞い、取材では感極まった


 5月6日、勝てば優勝の武蔵大2回戦。東海大ナインは序盤から硬かった。0対0のまま9回を終え、延長に入った。

 就任2年目の東海大・安藤強監督は円陣でこう言った。

「皆の力で、ここまで来たんだから!! それこそ、晴れ舞台。攻めていけ!!」

 Hondaの監督として都市対抗優勝へも導いたこともある名将は、過度のプレッシャーをかけない。選手の自主性を尊重する“社会人スタイル”で、プレーしやすい環境を整えてきた。

 10回裏二死二、三塁、五番・藤井健平(3年・大阪桐蔭高)が劇的なサヨナラ3ラン。本塁付近では東海大ナインでもみくちゃになった。5季ぶり70度目の首都大学リーグ戦制覇で、胴上げされた安藤監督は感極まった。

「(東海大の)山下(泰裕)副学長、原監督(辰徳、元巨人監督)からも『やってくれ!』と言われて、母校ですし、引き受けた。代表も2年残っていて、いろいろな思いがあった。母校のためにも、優勝できてうれしいです」

 急転直下の“人事”だった。前任の東海大・横井人輝前監督の退任が明るみとなったのは、2016年12月中旬。横井氏は大学日本代表監督も歴任していた。11月末の代表候補合宿(松山)も選考し、17年8月のユニバーシアード(台湾)までの任期を残しての“ドタバタ劇”であった(大学日本代表監督も退任)。

 同12月、東海大の新監督として白羽の矢が立った安藤氏も、2015年から社会人日本代表監督を務め、18年のアジア競技大会(インドネシア・ジャカルタ)までの任期を2年残していた。本田技研工業に属しており当然、一人で決められることでもない。とはいえ、大学4年間、育ててもらった東海大への愛着は人一倍あった。各方面の調整を慎重に重ね、17年2月1日に東海大監督に就任したのだ。

「強い東海を!!」

 復活を期した今春、ダブルエースとして期待されていた右腕・青島凌也(4年・東海大相模高)と左腕・横川楓薫(4年・日南学園高)が故障により戦線離脱。不安の中で開幕を迎えたが原田泰成(3年・東海大望洋高)、山崎伊織(2年・明石商高)、飯嶋海斗(4年・成田高)の先発陣に、クローザーを務めた小郷賢人(2年・関西高)が奮闘し、両輪の穴を埋めた。

 昨年11月の明治神宮大会で、首都大学リーグのライバル・日体大が37年ぶりの優勝。松本航(4年・明石商高)、東妻勇輔(4年・智弁和歌山高)の二枚看板が残っており、東海大としてはV奪回へは絶対に乗り越えないといけない壁だった。同カードで東海大は日体大に先勝されたが、2回戦は延長16回タイブレーク(4対3)、3回戦も制して勝ち点を奪った。筑波大1回戦も延長13回タイブレークを制し、1点差ゲームを勝ち切ったのは計5試合。“粘り”が持ち味だ。

 東海大は6月11日に開幕する全日本大学選手権に出場する。安藤監督は力を込めた。

「この1カ月でしっかり整備して、東海の野球をやっていく」

 聞くまでもなく、目標は日本一。社会人時代からトーナメントの戦いには慣れており、そのさい配に注目だ。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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