今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 鶴岡一人監督の連載手記『南海ホークスとともに』
今回は『1961年12月4日増大号』。定価は10円上がって40円だ。グラビアは巻頭は
巨人・森昌彦の温泉療養で、12球団の秋季キャンプなどに多くページが割かれている。
新連載が2つスタート。1つは巨人・
長嶋茂雄の実録小説『虹の男』(
大和球士著)、もう1つは南海・
鶴岡一人監督の連載手記『南海ホークスとともに』だ。虹をかける男は、初回、少年時代の長嶋のイラストが入っているのだが、これが少し怖い。要は、体は子どもで顔は青年長嶋なのだ。おそらく顔を似せなければ、という思いからとは思うが……。
『今週の話題』では大毎監督解任後、1年間、本誌などで評論家生活をしていた
西本幸雄が登場。阪急コーチに就任した経緯を語るショートインタビューだ。巨人などからも誘われたが、「同じやるなら強いチームより、これからというチーム。そんなものに魅力を感じたし、僕の性格にあっている」と阪急を選んだ理由を語っている。これはのち近鉄監督になったときと同じ理由。もともとの性格に加え、出来上がったチームであった、大毎がやりづらかったこともあるのかもしれない。
この年のストーブリーグは序盤からにぎやかだった。球団別の動きを追った企画もあったが、ここでは巻頭の『藤田・山内・森はどこへ行く』に注目してみよう。
3人の大物選手の動きをレポートするもので、最初は巨人・
藤田元司。かつてのエースも近年は故障もあってパッとせず、61年は8勝に終わっていた。球団からは年俸の4分の1以下を通告(当時も25パーセント以下の減俸は禁止だが、本人の承諾があればよし)され、退団か引退がウワサされていた。
大毎・
山内和弘は金銭闘争。十年選手として
阪神から59年に
田宮謙次郎が移籍してきた際、ボーナス3000万円と住宅をもらったようだが、十年選手のルールが変わり、ボーナスは900万円が上限となった。それでも「自分の貢献を正しく評価してほしい」とプラスアルファを求め、球団ともめていた。
中日・
森徹は、
濃人貴実監督との確執から放出はほぼ決定的。大毎、大洋、南海が動いていた。中日は森ら主力選手、というより濃人に冷遇された旧主力選手が濃人への不満を親会社の中日新聞に直訴する騒ぎとなっていた。
3人のうち実際移籍となったのは、森。大洋だった。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM