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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

DeNAドラ7、宮本秀明の生きる道

 

同期入団の外野手、神里和毅(ドラフト2位)と並んで試合の流れを変えることができる“足”が武器だ


 延長の末に競り負けた5月12日のヤクルト戦(横浜)。同点で迎えた終盤8回、無死から四球で出塁した宮崎敏郎の代走で一塁ベースに立ったのはルーキー・宮本秀明だった。1点がほしい緊迫した状況で、果敢に今季4つ目の盗塁を決めて見せた。後続が倒れたため、勝ち越しのホームを踏むことがはできなかったが、入団1年目ながらおもに代走、守備固めで貴重な戦力となっている。

 秀岳館高、パナソニックを経て、今季ドラフト7位でDeNA入団。春季キャンプから一軍に帯同し、ここまでずっと一軍に食らいついている。身体能力が高く、攻守走で高いレベルのプレーが魅力の21歳は、守備や走塁だけでなく打撃でも非凡なセンスを持ち合せている。

 4月25日の広島戦(横浜)では7回に代打で登場すると、プロ初安打となるソロ本塁打を左翼に運んだ。翌日の同カードでは「二番・セカンド」でスタメンに抜てき。1打席目に、今度は右中間に2号ソロを叩き込んだ。社会人時代から振り込んできたスイングスピードは、プロでも十分に通用している。それだけに早く毎試合スタメンを張れるようなレギュラーを目指したいところだが、本人は「今のチーム状況から考えると僕はスタメンより、代走というポジションがメーンになる」と割り切っている。

 ポジションを争う二遊間の守備、打撃はまだまだ勉強不足。現時点では、代走という役目を突き詰めたほうがチームの勝利には貢献できる──そう宮本は考える。そのための準備は怠らない。「『いくぞ!』と代走の声がかかったときに、『準備ができていません』とならないようにしておきたい」と言う。

 試合前の練習では、打撃練習の打球に合わせて走塁練習を繰り返す背番号「00」の姿がある。「走塁にかなり練習時間を割いています。試合前に僕1人だけ汗びっしょりです」と笑うドラフト7位は、自分の武器を磨き、チームの中で欠かすことのできないポジションを確立しようと懸命に努力している。

 インタビューをしていると、何人ものチームメートやスタッフから「どこのインタビュー?」「まだ早いんじゃないの?」と宮本に“突っ込み”が入った。プロ入りしてほんの数カ月だが、すでに“愛されキャラ”という立ち位置は手に入れているようだ。

文=滝川和臣 写真=大賀章好
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