プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 名捕手と多彩な好打者がズラリ
好打者が並ぶ1976年に生まれた世代。短い期間ながら鮮烈な印象を残した意味で“赤星世代”、
広島に限らずプロ野球に長く貢献している点では“新井世代”でもいいが、どういうわけか各チームで司令塔を担った名捕手が多く、九州ホークスの黄金時代を支えた城島健司、セ・リーグの2チームで正捕手を務めた
相川亮二(
ヤクルトほか)、強肩強打で2010年に“史上最大の下克上”の起爆剤となった
里崎智也(
ロッテ)が同世代だ。
司令塔の“三本柱”は異色で、この世代の大きな特徴ということから、“城島世代”と銘打った。
【1976年生まれのベストナイン】(1976年4月2日〜77年4月1日生まれ)
投手
金村曉(
日本ハムほか)
捕手 城島健司(ダイエーほか)
一塁手
イ・スンヨプ(
巨人ほか)
二塁手
草野大輔(
楽天)
三塁手
新井貴浩(広島)
遊撃手
二岡智宏(巨人ほか)
外野手
金城龍彦(
DeNAほか)
多村仁志(DeNAほか)
赤星憲広(
阪神)
指名打者
サブロー(ロッテ)
ただ、広島25年ぶりの優勝に貢献して16年のMVPに輝いた新井貴浩が今や世代の顔と言えるのではないだろうか。阪神時代、東日本大震災が発生した11年は選手会長としても奔走。迎えた18年も現役を続ける。日韓通算2000安打、500本塁打のイ・スンヨプが一塁にいるため、ここでは三塁に据えた。天才と評された打撃センスの草野大輔が二塁に、劇的本塁打でも記憶に残る二岡智宏が遊撃にいて、タイプの異なる好打者が内野に並んだ。
長い活躍を続ける新井と対照的に、わずか9年で故障のため惜しまれつつも引退した赤星憲広が外野にいる。プロ1年目から5年連続で盗塁王に輝いて2度のリーグ優勝へと阪神を引っ張った“レッドスター”が、ここでもリードオフマンとなりそうだ。やはり故障に苦しめられたが、長い活躍を続けた多村仁志、00年にスイッチヒッターとして歴代最高の打率.346で首位打者となった金城龍彦と、外野にも多彩な好打者がそろう。
絶対的エースは不在
日本ハム・金村曉
司令塔の城島も打撃タイトルこそないが強打の捕手としては歴代屈指。日本一イヤーの03年には捕手として初めてのフルイニング出場で打率3割、30本塁打、100打点をクリアして、メジャーでも通算48本塁打を残している。打線にスキはなさそうだ。
一方で、北海道へ移転したばかりの日本ハムを支えた金村曉、地上5センチほどから投げ込んで「世界一リリースが低い」とも言われたサブマリンの
渡辺俊介(ロッテ)が先発の二枚看板だ。
リリーフ陣は多彩で、ダイエー初優勝の99年にセットアッパーながら14勝で最高勝率に輝いた左腕の
篠原貴行(
ソフトバンクほか)を皮切りに、14年に最優秀中継ぎ投手となった
福原忍(阪神)、やはりセットアッパーとして低迷するチームを支え続けた
横山竜士(広島)、06年からのリーグ連覇を支えた
MICHEAL(M.中村)らの右腕が同世代。先発の経験もある福原、横山をローテーションに回して先発陣の充実を図りたい。
投打に名選手は多いが、バランスには大いに難があると言える。正捕手クラス3人というのも象徴的で、好打者が並ぶ打線も韋駄天タイプは赤星のみ。サブローは05年に“つなぎの四番”として日本一に貢献した巧打者で、内外野をこなす守備も武器だが、ここでは指名打者に据えた。
打者では8選手が通算100本塁打を超えているから、破壊力と勝負強さで打ち勝つ豪快な野球になりそうだ。
写真=BBM