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プロ野球仰天伝説

ファンと間違えてスカウトとの契約書にサインした沢村栄治/プロ野球仰天伝説143

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

突然、人相の悪い男が現れて……



 写真は1935年、漢字の背番号を着けた第1次アメリカ遠征時の沢村栄治(巨人)だが、すでに日米野球の快投が伝えられていたこともあって大人気。試合の前後などサインを求めるファンが相次いだ。

 事件はそんなときに起こった。日本の宿舎のホテルに突然、人相の悪い男が現れ、「スクールボーイを渡せ」と言ってきたのだ。頭がおかしいのかと追い返そうとしたが、出してきた書類を見て驚いた。カージナルスの契約書。しかも沢村の立派なサインが入っている。

 沢村を呼んで聞いてみると、確かにこの男に球場で声をかけられ、ファンと間違えてサインをしたという。あわてて「契約書を返してくれ」と頼むと、アメリカのコミッショナーに訴えると言ってきたが、そこで一人がハッと気づいた。

「残念ながら東京ジャイアンツはアメリカのコミッショナーとはまったく関係ない。訴えても何もならないよ」

 スカウトもしぶしぶ返してきた。

写真=BBM
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