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週刊ベースボール60周年記念企画

球界に50メートル4秒台の男がいた!/1962年1月29日号【200】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

小林英幸という外野手が……


表紙は左から大洋・桑田武森徹


 今回は『1962年1月29日号』。定価は30円だ。センターグラビアには、渡米中の巨人長嶋茂雄のタキシード姿でのパーティー風景が掲載されている。ニューヨークの後はマイアミで海釣り、ラスベガスでカジノ、さらにはロサンゼルスでドジャースのオマリー会長を表敬訪問……。まさにアメリカを満喫だ。「とても素晴らしい旅だった。ラスベガスではちょっと損をしたが、それでも洋服を買ったり、友人にお土産を買って帰る金はある」と長嶋は満面の笑顔で振り返っていたが、さすがに羽目を外し過ぎたか、62年の成績はいまいちだった。

 一方で1月10日から早くも合同自主トレをスタートしていたのが中日。しかも、当時は別に珍しいことではないのだが、ユニフォーム姿で監督も普通にいる。これは12、1月を休養期間にあてよという野球協約に違反しているが、連載『フラッシュ』では「協約を改正せよ」の見出しで「まだ一人前ともいえない選手が、のんべんだらりと2カ月も昼寝をしているのが、果たしてプラスになるのかどうか」と、むしろ協約を変えるべきという論調になっている。

 今回は『12球団週間報告』からもネタを拾ってみよう。申し訳ないが、普段はここで紹介しないが、実は、なかなかすごい(細かい)ものがある。

 まずは西鉄・武末悉昌コーチが考案した「マメつくり器」。投手のマメは紙一重で、エンゼルスの大谷翔平のように、やぶれてしまっては大変だが、うまくつくれば指先を硬くなり、球を強くはじけ、投球にも有利だ。ただ、投げ込みで急に作ると破れる危険が大きくなるので、実際のボールをいつもポケットに入れ、時々、指先に刺激を与えていた投手もいたらしい。
 それではポケットが痛んでしまうと武末コーチが考えたのが、キャラメル箱くらいの板にボールの革を接着剤で貼ったものだ。これならポケットが痛まない。
 どうですか、大谷選手、特注しますか。

 もう一つは大毎で出ていた「50メートル4秒台の小林」という見出し。小林英幸という外野手なのだが、50メートル走でなんと4秒8を出したという。記事中でも「100メートルでは10秒の壁を破ることになるたいへんな記録である」と書いている。現在の世界記録は5秒5台というから測り間違いか、それともとんでもない怪物だったのか。まあ、普通に考えれば前者だろうが。

 本文巻頭は新コミッショナーになった内村祐之の特集だ。かつて一高の名左腕として鳴らした精神神経学の大家で、キリスト教思想家・内村鑑三の息子でもある。

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』が好評発売中、『ロッテ編』を鋭意制作中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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