プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 まだ大一線で活躍
迎えた2018年シーズン、40歳を迎えるのが、この1978年に生まれた世代。近年は長く活躍した選手の引退も相次いでいる世代でもあるが、本職の捕手を離れたとはいえ、まだ第一線で活躍を続けている阿部慎之助が世代の顔と言えるだろう。
現在は一塁手としてプレーしている阿部だが、ここでは再び司令塔の座に。助っ人に頼らざるを得なかった前年の世代とは対照的に、日本人選手だけでラインアップが編成できるのも特徴だ。
【1978年生まれのベストナイン】(1978年4月2日〜79年4月1日生まれ)
投手
武田勝(
日本ハム)
捕手 阿部慎之助(巨人)
一塁手
石井義人(
西武ほか)
二塁手
関本賢太郎(
阪神)
三塁手
岩村明憲(
ヤクルトほか)
遊撃手
後藤光尊(
オリックスほか)
外野手
森野将彦(
中日)
廣瀬純(
広島)
濱中治(阪神ほか)
指名打者
高橋信二(日本ハムほか)
阿部に負けずとも劣らない左の好打者が三塁にいる岩村明憲だ。“何苦楚魂”のフルスイングで本塁打を量産し、メジャーでも活躍した。左打者が打線の半数を超えているのも特徴で、たびたび守備位置に背番号をも変えながら中日ひと筋を貫いたのが外野の森野将彦。内野すべてをこなし、全打順で本塁打を放った後藤光尊が本職の遊撃に、絶妙なバットコントロールが光った石井義人が一塁にいる。
右打者の関本賢太郎も内野のユーティリティーだが、本職の二塁に。内野陣は盤石だ。
捕手出身で右打者の高橋信二は指名打者に据えた。故障もあって、阿部と同様に一塁へ転向、主に指名打者として09年のリーグ優勝に貢献している。外野にいるのが03年に開幕から四番に座ってリーグ優勝に起爆剤となるも、故障に泣いた濱中治(おさむ)と、堅守を誇った廣瀬純(広島)だ。
あえて控えの走り屋も
あえて控えに温存した外野手が鈴木尚広(巨人)。プロ野球で初めて規定打席に一度も到達しないまま通算200盗塁を達成した“代走のスペシャリスト”で、もちろん規定打席未満ながら打率3割、30盗塁をクリアした08年にはゴールデン・グラブに選ばれるなど、外野守備にも定評があった。
通算盗塁3ケタは鈴木のみで、打線の難点は機動力。スイッチヒッターの鈴木をリードオフマンにして、すべての内野をこなした森野を一塁に回し、代打で勝負強さを発揮した石井を控えに温存する作戦もおもしろそうだ。
エースの武田勝は独特の変則フォームから抜群の制球力に支えられた120キロ台の“遅球”を投げ込んだ異色の左腕で、Vイヤーの09年から4年連続で2ケタ勝利に到達した。クローザーも同じチームで同姓の
武田久(日本ハム)。06年からのリーグ連覇はセットアッパーとして、09年からはクローザーとしてチームを支えている。
2年目の02年に新人王を争い、04年には9回裏二死からノーヒットノーランを逃した左腕の
吉見祐治(横浜ほか)に、07年の日本シリーズで8回表まで完全試合ペースの好投も降板、“継投完全試合”で日本一を決めた右腕の
山井大介で先発三本柱。山井は13年にノーヒットノーランを達成、翌14年には最多勝に輝いて、18年も現役でプレーしている。長くチームを支え続けたセットアッパーの
小山伸一郎(
楽天ほか)も同世代だ。
阿部と岩村のクリーンアップは強力。器用な顔ぶれが並ぶ打線をどのように組んでいくかが勝負の分かれ目になるかもしれない。
写真=BBM