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週刊ベースボール60周年記念企画

4000万円男・尾崎行雄の20勝は確実/週ベ1962年2月19日号【203】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

金田正一の享栄商高時代の猛練習


表紙は左から巨人王貞治長嶋茂雄


 今回は『1962年2月12日号』。定価は40円。増ページもないので、創刊以来初、ついに10円の値上げが行われたようだ。グラビアでは巻頭が巨人・長嶋茂雄、センターグラビアでは西鉄・中西太兼任監督、南海・杉浦忠らのキャンプ風景が掲載されている。
 本文巻頭記事も長嶋特集。かなり調子はいいようだ。三冠王について聞かれ、

「昨年は本当にもう少しだったもんね。後半ちょっとばてちゃって。1年目は首位打者になれなくて三冠王を逃したし、三度目の正直というから最初から狙っていきますよ。なんだか5年目あたりが一番調子がいいそうですね」

 と語っている。

 浪商高を中退し東映入りした17歳の怪童・尾崎行雄の記事もあった。契約金4000万円とも伝えられる大物新人だ。球種は速球と落ちるカーブ、シュートで高校時代は、ほとんどストレートしか投げなかったという。サイド気味からの球は速いだけでなく、制球もいい。周囲は1年目から20勝もと期待を寄せているが、本人は「なるべく多くの試合に出たいということを、いまは念じているだけです」と謙虚だ。
 
 連載『ぼくの球歴』では国鉄の金田正一が登場。享栄商高時代の猛練習について書いてあるので抜粋する。彼も尾崎同様、高校中退プロ入団だ。

「僕は中学時代まったく野球はやったことがありません。野球のボールを握ったのが高校に入っての5月だから大変でした。一番きつい練習は2人でできるだけ接近してボールをほうり合うんです。それも自分の出せる限りのスピードで。手のひらは真っ赤に腫れあがってエンピツはもちろん、食事のときは箸も持てない。重いものを持つと痛くて涙が出てきましたよ。プロに入ってからもつらかったことはいろいろありましたが、あのときほどつらかったことはありませんね」

 昔の強豪野球部ではよくある練習だったが、これで骨折したり、目に当たり失明し、野球を断念した人もいたりしたという話を聞いたこともある。この練習で鍛えられるのは……たぶん、度胸くらいか。

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』が好評発売中、『ロッテ編』を鋭意制作中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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