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週刊ベースボール60周年記念企画

阪神・村山実、小山正明のMVP争い/週べ1962年10月22日号【238】

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

森永勝治、広島初の首位打者に


表紙は左から東映・土橋正幸張本勲


 今回は『1962年10月22日号』。定価は40円だ。
 10月3日、シーズン最終戦となる甲子園での広島戦に勝利し、阪神が優勝。藤本定義監督の涙の胴上げ、優勝インタビューの写真が掲載されているが、グラウンドは人、人、人……。
 優勝決定と同時にグラウンドに観客がなだれ込んだようだ。警備員や記者たちは随分殴られたらしい。

 物議を醸したのが、MVP。記者投票で決定するのだが、阪神・村山実に輝いた。25勝14敗、防御率1.20と、まったく問題ない数字ではあるのだが、同じ阪神に27勝11敗、防御率1.66、セ・リーグ記録の13完封を達成し、V決定試合でも完封で胴上げ投手になった小山正明がいた。

 村山も「僕は小山さんと思っていたんですが」と困惑する受賞だった。
 投票の締め切りが優勝決定の3日で、最後の完封を反映できなかったため、とも書いてあったが、ならば優勝がどこに決まるか確定する前の締め切りだっだのか。それもどうか。

 小山はこの知らせを聞き、祝勝会にも出ずに帰ってしまったが、7日から再開した練習では元気な顔を見せ、
「ここまで来たんだから村山と力を合わせて日本シリーズもいただかないとね」
 と内心は分からぬが、ひとまず笑顔で語っていたようだ。

 この年、広島からは県民の期待に応えて念願の首位打者が誕生。打率.307の森永勝治だ。これは2リーグ制後の首位打者では最低打率でもある。

 この時点では、まだ1試合を残していたが、「もうここまできたら大丈夫でしょう。去年(61年)ベストナインに選ばれたときもうれしかったが、首位打者は打者の最高の名誉だからうれしい。3割ちょっとでなれたんだからついていたんだが」。
 常に控えめな森永だが、初の栄冠にはさすがにうれしそう。顔をほころばせて語る。

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 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』『ロッテ編』が発売中。現在、『広島編』を6月29日発売予定で鋭意制作中です。
 
 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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