プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 早熟か遅咲きか
現役選手としてはベテランの域に入った1985年に生まれた世代。タイトルホルダーも少なくないが、長く安定した活躍を続けた選手は多くない。貴重な例外は外野にいる大島洋平。外野手の層が厚い世代で、韋駄天タイプがそろっているのも特徴。その意味では、大島が世代の顔と言えるだろう。
【1985年生まれのベストナイン】(1985年4月2日〜86年4月1日生まれ)
投手
成瀬善久(
ヤクルト)
捕手
市川友也(
ソフトバンク)
一塁手
松山竜平(
広島)
二塁手
明石健志(ソフトバンク)
三塁手
小窪哲也(広島)
遊撃手
内村賢介(
DeNAほか)
外野手 大島洋平(中日)
聖澤諒(
楽天)
清田育宏(
ロッテ)
指名打者
エルネスト・メヒア(
西武)
大島は2012年にセ・リーグの盗塁王に輝いたが、その12年にパ・リーグの盗塁王となったのが聖澤諒で、外野手としての連続守備機会無失策のプロ野球記録を保持する堅守が最大の武器だ。韋駄天よりも強打が魅力の清田育宏は15年にベストナイン、ゴールデン・グラブをダブル受賞。12年から2年連続でゴールデン・グラブに選ばれた韋駄天の
荒波翔(DeNA)は、近年はレギュラーから遠ざかっている早熟タイプだ。外野手では、やはり俊足を誇る
荻野貴司(ロッテ)もいる。
投手陣にも早熟タイプが多い。象徴的なのは2010年の新人王となった
榊原諒(
日本ハムほか)。翌11年にはセットアッパーとして23ホールドをマークしたが、故障もあってプロ7年目の15年限りで現役引退。エースに据えた成瀬善久もロッテ時代の07年に自己最多の16勝で最優秀防御率に輝き、09年から4年連続で2ケタ勝利を挙げているが、その後は徐々に失速している。13年にセーブ王となった
西村健太朗も故障に苦しんだ。
スーパーカー・クインテット
ロッテ・荻野貴司
17年に最優秀中継ぎ投手となった
桑原謙太朗(
阪神)は対照的に遅咲きタイプ。その17年に初めてNPBのマウンドを踏んだ
村田透(日本ハム)も、ある種の“遅咲き”で、メジャー経験のほうが多い異色の右腕だ。
内竜也(ロッテ)らリリーバーは充実しているが、先発はヤフオクドームで異様な強さを発揮する
バンデンハーク(ソフトバンク)が同世代で、成瀬との二枚看板となりそうだ。
捕手と内野陣は層が厚くない。捕手は市川友也と
小宮山慎二(阪神)が司令塔の座を争う。内野手はレギュラーこそ少ないが、ユーティリティーが並び、外野陣と同様に俊足も武器。守備には不安がなさそうだ。
二塁はソフトバンクの黄金時代を支える明石健志で、高校時代のチームメートだった内村賢介と二遊間を形成する。内村は育成から這い上がった小柄のスイッチヒッター。ともに韋駄天で、打順も並べてコンビプレーを期待したい。
三塁は選手会長として広島をリーグ連覇に導いた小窪哲也。一塁も広島から、17年の終盤に四番打者として連覇を呼び込んだ松山竜平を外野からコンバートした。一塁もこなせる遅咲きの強打者だ。同世代には内外野をこなす
堂上剛裕(中日ほか)もいる。
主砲は指名打者の
メヒア。唯一の本塁打王で、広島勢とクリーンアップを担う。
85年は大洋の“スーパーカートリオ”がセ・リーグを駆け回ったシーズン。大島を皮切りに、5人の“スーパーカー”は出塁したら果敢に次の塁を狙ってほしい。酸いも甘いも噛み分けた苦労人も多く、相手バッテリーを攪乱して打者に有利な状況を作ることもできそうだ。
写真=BBM