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週刊ベースボール60周年記念企画

巨人より強いタイガースの闘志/週ベ1962年5月7日号【214】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

巨人打倒が優勝への道


表紙は左から阪神・藤本定義監督、村山実


 今回は『1962年5月7日号』。定価は40円だ。セでは阪神が好調。宿敵巨人相手には4勝1敗となっていた。先頭に立って引っ張るのは、巨人OBでもある藤本定義監督、青田昇コーチ。戦前巨人第1期黄金時代を指揮した藤本監督は、「巨人に勝つのが今年の阪神の宿命です。巨人に勝つことは、そのまま優勝への道につながるのです」と語っている。

 一方の目の敵(?)にされている前年の首位・巨人は投打とも元気がなく下位低迷。
 川上哲治監督は、振り下ろすダウンスイングを意識し過ぎたか投手側の肩が前に出て体が早く開き、手打ちになっている打者が多かったことで、自ら矯正に乗り出した。主に重心を残し気味に腰の回転を意識した軸回転を指導していた。

「いくぶん下からまくり上げる形になるが、上からたたくことばかり考えた悪い点が出かかっているので、それを改めさせたのです」

 と説明。打撃は難しい。ちなみに川上監督の現役時代は、時代を先取りしたかのような、きれいなレベルスイングだった。月刊ベースボールマガジン時代のものなので、この連載のテーマから外れるが、チャンスあれば連続写真をお見せしたい。

 一方、パでも前年覇者の南海が4月11日から6連敗と低迷。またもアキレス腱を切った森下整鎮などケガ人が続出し、手術から復帰の杉浦忠もパッとしない。

 記者に5月攻勢? と聞かれ、「あほかい。いますぐからでもやったるわい」と言っていた鶴岡一人監督の期待は、自ら渡米して獲得したハドレー(ハドリ)内野手。書類手続きに手間取り、まだ来日していない。

 一方、東映は好調。新人・尾崎行雄は4月22日近鉄戦(日生)にプロ初先発初完封で先輩・土橋正幸と並ぶハーラートップの4勝目を挙げている。

 プロ3年目、これまで54試合に投げながら0勝9敗と勝利がなかった近鉄・久保征弘が、この年の5試合目、4月17日の南海戦で、通算59試合目でついに初勝利を挙げた記事もあった。

「やっと肩の荷が降りた気分です。今年4年目だし、石にかじりついてもという気持ちで投げます。今度は完封をやってみたい」と久保。この年、28勝で最多勝になった。

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 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』『ロッテ編』が発売中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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