プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 流行語にもなった世代の顔
打撃に安定感と長打力を兼ね備え、シーズン打率3割、30本塁打をクリアした打者は少なくない。ただ、これに30盗塁も加わると難易度は上がってくる。そのトリプルスリーをプロ野球で初めて2年連続で達成した山田哲人が、この1992年に生まれた世代の顔と言って間違いないだろう。
初めて達成した2015年にはパ・リーグでも
柳田悠岐(
ソフトバンク)が達成して、「トリプルスリー」は流行語大賞に選ばれた。野球ファン以外の人が、どれだけ「トリプルスリー」という単語を口にしたかは謎だが、それだけセンセーショナルな出来事ではあった。その15年には本塁打王にもなってMVPに選ばれている。
【1992年生まれのベストナイン】(1992年4月2日〜93年4月1日生まれ)
投手
千賀滉大(ソフトバンク)
捕手
甲斐拓也(ソフトバンク)
一塁手
中谷将大(
阪神)
二塁手 山田哲人(ヤクルト)
三塁手
中村奨吾(
ロッテ)
遊撃手
源田壮亮(
西武)
外野手
西川遥輝(
日本ハム)
後藤駿太(
オリックス)
野間峻祥(
広島)
指名打者
外崎修汰(西武)
ここでも山田は不動の二塁手。17年に外野や二塁を守ってレギュラーとなった外崎修汰はパ・リーグの選手であることから指名打者に回し、18年は大学時代に守っていた本職の二塁に“復帰”しているが、プロでは三塁や遊撃を守ってきた中村奨吾は三塁に据えた。三塁にも適性があり、18年は三塁手としての出場も多い外崎が三塁で、中村を指名打者としてもいいだろう。いずれも右打者だ。
二塁に好打者が集まる一方で、一塁手の層は薄く、ここでは外野手の中谷将大をコンバートした。遊撃には全試合フルイニング出場して17年の新人王に選ばれた源田壮亮で、内野陣で唯一の左打者。内野の左打者では正遊撃手の座をうかがう
糸原健斗(阪神)もいる。
外野には俊足の左打者が並んだ。筆頭は17年に2度目の盗塁王に輝いた西川遥輝。リードオフマンとして打線を引っ張る役割だけでなく、16年の日本シリーズで史上2人目のサヨナラ満塁本塁打を放った勝負強さでも貢献する。堅守で圧倒するのが後藤駿太で、抜群の走塁技術を誇るのが野間峻祥だ。
鷹の育成出身バッテリーが軸に

ソフトバンク・千賀滉大
バッテリーは育成ドラフトの同期で、17年にソフトバンクの日本一に大きく貢献した千賀滉大と甲斐拓也。相性も抜群だ。その17年に千賀はパ・リーグの最高勝率に輝いているが、セ・リーグで戴冠したのが
薮田和樹(広島)。ともにリーグ優勝の立役者でもある。
プロ入り前の注目度で圧倒するのが
有原航平(日本ハム)。15年に新人王、16年から2年連続2ケタ勝利と結果も残していて、豪華な先発三本柱となった。いずれも右腕だが、先発左腕では
加藤貴之(日本ハム)と
石田健大(
DeNA)がいる。
17年シーズン途中に日本ハムからDeNAへ移籍したエスコバー(DeNA)は左のセットアッパー。リリーフ左腕では
高梨雄平(
楽天)もいる。
リリーフ陣は右腕も充実していて、セットアッパーでは
小林慶祐(オリックス)や
三ツ間卓也(
中日)もいて、クローザーはリーグ連覇に貢献した
中崎翔太(広島)に、新人王となった15年から2年連続30セーブをクリアした
山崎康晃の二枚看板だ。
まだまだ安定感は物足りないが、裏返せば若さの証明でもある。戦力のバランスも悪くない。やがて“黄金世代”と評される可能性もある世代と言えるだろう。
写真=BBM