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プロ野球仰天伝説

背走していても球が近くにくると背中にビビッときた坪内道則/プロ野球仰天伝説160

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

俊足を生かした外野守備は名人芸


金星・坪内道則


 1936年秋に大東京に入団した坪内道則(道典)。戦後はゴールドスターで球界に復帰し、47年には日本国憲法公布記念として、阪神若林忠志とともに功労賞の表彰を受け、さらに『野球名人』の称号が贈られた。

 坪内の名人芸は俊足を生かした外野守備だ。「若手時代はどんなフライでも全部捕れた」とまで言い切る。実際、松山商、立大で一緒だったタイガースの景浦将は、センターの坪内に打球が飛ぶと、どんな鋭い当たりでも一塁に向かわず、ベンチに戻った。「坪内なら必ず捕ってしまうから、走っても疲れるだけ」というのが理由だ。

 打者のクセや配球から、1球1球、守備位置を変えたが、スタートに関しては神がかっている。なんとバットにボールが当たる前にスタートするのだという。さらに、打球方向を見なくても最短距離で走る自信があった。

「それで、走っていて背中に熱いものを感じて振り向くと、必ずボールがあるんです」

 もはや剣豪の境地だ。

写真=BBM
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