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週刊ベースボール60周年記念企画

東京スタジアム開場と永田雅一会長の夢/週べ1962年6月4日号【218】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

ドン・ニューカムの中日入り


表紙は東映・尾崎行雄


 今回は『1962年6月4日号』。定価は40円だ。中日がメジャー経験者獲得に動き、メッツのジム・マーシャル、元ヤンキースのビリー・マーチン獲得が、ほぼ決まりかけていたようだが、土壇場で決裂となった。代わりに取ったのが、ドン・ニューカムだ。メジャー149勝の投手だが、60年限りで事実上引退していた。契約金は2万ドル。
 高田中日代表は「相撲で言うなら大鵬、柏戸をいただいたようなものだよ」とはしゃいだ。

 阪神・藤本定義監督が本格導入したとされるローテーションの話もあった。
「小山(正明)は中3日休ませます。小山はそういう型の投手です。村山(実)は中2日で無理して使うときがあっても、小山はその線で使います。小山を1シーズン300イニング以上投げさせることは酷使することです」

 いよいよ大毎の本拠地・東京スタジアムが6月2日に開場。生みの親とも言える永田雅一社長の話もあった。開場に先立つ5月21日に取材したものだ(週べ60年ロッテ編にも収録)。
──開場式に相撲の大鵬と柏戸の土俵入りをしようと予定されたとか。
永田 あった。ところが相撲はハワイに巡業に行かなきゃならんのだ。僕は一塁側、三塁側から大鵬、柏戸が土俵でやるのと同じスタイルで土俵入りさせて、プレーボールに持って行こうと思っていた。
──始球式は会長が。
永田 やらん。自分のところで自分がやったら楽屋落ちじゃないか。6月2日は俺の親友の河野一郎君の誕生日なのだ。ああいう馬力の強いヤツの誕生日だろ、だからあいつに始球式をやらせようかと思っている(当時の農林大臣。一塁側ダグアウト上から投げ入れる、アメリカ式の始球式をした)。
──新球場の特徴は。
永田 とにかくベースボールの醍醐味を味わいながら楽しもうという観点で作っているわけなんだ。見てもらえば分かると思うけど、当然日本一であることは間違いない。アメリカにおいても5指に数えられる球場だと思うね。一応、モデルはサンフランシスコ・ジャイアンツ(キャンドルスティック・パーク)をかなり使っているんだ。内野席で2万5000人、外野が7000人で3万2000人ね。だからねえ、自分は大毎オリオンズのオーナーであるということもさることながら、東京に一つ名所ができたのは、いいことだよ。大変な費用がかかったけどね。地所に14億、建築費が16億。まあ、グラウンドは申し分ないよ。スタンドにはスロープですっと自然に上がれるようになっている。階段ちゅうやつは人が多かったりすると危ない。
──なるほど。
永田 この球場で特徴づけようと思うのは、必ずここでは君が代で国旗掲揚式を済ましてからじゃないとプレーボールをかけんスタイルにしようと思って。
──それは全試合ですか。
永田 ええ。そうすると選手も緊張しているし、ファンも少なくとも厳粛になる。これをこのスタジアムの特徴にしますよ。

 南海では捕手の野村克也が一塁、外野を守らされ、「やっぱりキャッチャーのほうがええ」とぼやいている。鶴岡一人監督は、肩の衰えが見えてきた野村を将来的に一塁に回す構想を持っていたらしい。
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 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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