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林昌範コラム

林昌範 新人のオリックス・田嶋、DeNA・東が「勝てる投手」になれる共通点とは?

 

新人が大先輩の打者、外国人に懐を突くことはなかなかできない


DeNA東克樹(写真=BBM)


 新人のオリックス田嶋大樹投手が5勝、DeNA・東克樹投手が4勝と安定した投球で先発ローテーションに定着しています(6月4日現在)。ドラ1左腕の両投手ですが、投球スタイルは対照的だと思います。

 田嶋投手は身長182センチの長身で左腕の使い方が独特です。ギリギリまで左腕が体に隠れているので打者はタイミングを取りづらく、直球に差されて変化球に泳がされる。一方の東投手は身長170センチと小柄ですが、全身を目いっぱい使って投げるパワーピッチャー。直球と同じ腕の振りで投げるチェンジアップも効果的で三振の山を築いています。

 両投手が勝てる理由は技術だけではなく、精神的な強さも要因だと思います。2人は右打者、左打者の内角にきっちり直球を投げ込みます。新人が大先輩の打者、外国人に懐を突くことはなかなかできません。私が若手だったとき、内角に要求するサインが出ると「当てたらどうしよう」という恐怖心が頭をよぎることがありました。実際に死球を当ててしまい、「このクソガキ!」と相手打者に怒鳴られたこともあります。

オリックス・田嶋大樹(写真=BBM)


 ただ、勝てる投手は内角をきっちり突きます。突かないと打者に踏み込まれて変化球にも対応されるからです。東投手は右打者の内角を突く直球の精度が抜群です。見せ球でもウイニングショットでもきっちり投げ切れるため、これからも勝ち続けると思います。

 3日のオリックス−巨人戦(京セラドーム)は田嶋投手が6回まで8安打を浴びましたが、2失点と試合を作りました。一方の巨人・内海投手も5回1/3で1失点とベテランらしく要所は締めました。新人とベテランの投げ合いでしたが、強気に攻め続ける投球でした。

 プロを目指す投手たちは、この試合を見て両左腕からお手本として参考になることが多かったのではないでしょうか。田嶋、東の両投手は新人王、2ケタ勝利も十分に狙えますし、チームの中心として期待される素材だと思います。

記事提供=ココカラネクスト編集部 平尾類
ココカラネクスト編集部

元DeNA・林昌範氏(写真=ココカラネクスト編集部)


●林昌範(はやし・まさのり)
1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの34歳。市立船橋高から2002年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3.49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。
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