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プロ野球仰天伝説

新人・別当に本気で嫉妬していたミスター・タイガース、藤村富美男/プロ野球仰天伝説165

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

ホームランを狙うために用いたバット



 1948年、慶大のスター選手だった別当薫が阪神に入団。むさくるしかった甲子園に女性や子どもの姿が目立つようになってきた。

 心中、穏やかじゃなかったのが、ミスター・タイガース、藤村富美男だ。聞けば年俸も自分とたいして変わらないらしい。高卒出と大学出といっても、プロ野球は実力社会。これまでの貢献はどうなるのだ。

 しかも別当は甘いマスクだけの男ではなかった。途中で負傷離脱とはなったが、そこまでは、すさまじい勢いで打ちまくった。

「こうなればワシもホームランを狙うしかない」と考えたのが、遠心力を使って飛ばす長いバット。つまり物干し竿だった。

 迎えた49年、飛ぶボールの導入もあって、2人は空前のペースでホームランを打ちまくる。抜きつ、抜かれつの展開は秋まで続き、最後は別当が力尽きた。

 藤村は46本塁打、187安打、142打点。いずれも、この時点で日本記録。チームが6位ながらMVPにも輝いた。

写真=BBM
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