6月2日のオリックス戦から四番に座る巨人の岡本和真。重圧をものともせず、試合前のベンチ前でリラックスした表情を見せる
来るべきときが来た。
6月2日のオリックス対巨人(京セラドーム)で、巨人の
高橋由伸監督はプロ4年目の岡本和真を四番に据えることを決断した。読売巨人軍第89代四番打者となった若き大砲は、この日、2回の第1打席でオリックス先発・
山岡泰輔から豪快に左翼席上段に突き刺す名刺代わりの一発。試合には2対3で敗れたものの、8回にも適時打を放つなど、上々の四番デビューを飾っている。
以降、6月7日まで全5試合に四番で起用され、3試合連続マルチヒットと、堂々その重責を担う新四番に、周囲からは熱い視線が注がれているが、本人はいたって冷静なことに驚かされる。デビューとなった2日も球場入り後、ベンチ裏に張り出されていたオーダー表で「あ、四番なんや」と気付いたというが、「打順とか、あまり気にしないタイプなので」とものともせず。どんな状況下でもマイペースを貫けるところに大きな魅力を感じる。
2015年に奈良の智弁学園高からドラフト1位で入団。「近未来の四番打者」を期待され、過去3シーズンは二軍で多くの時間を過ごすなかでその技を磨いてきた。一時は「自分は中距離打者なのかもしれない」と自信を喪失しかけた時期もあったと言うが、昨オフには
西武の
中村剛也に合同練習を志願してホームラン打者の極意を学びつつ、あらためて自身の武器が長打(ホームラン)であることを再認識。今春季キャンプでは
松井秀喜臨時コーチにマンツーマンで学び、その打撃スタイルを突き詰めた。
オープン戦打点王はその賜物で、確かな結果と力で
阿部慎之助とのポジション争いを制し、開幕から打撃主要3部門で好成績をキープ。四番起用も説得力十分(打点は1位、本塁打は1位タイ、打率は2位)だ。
まだ5試合のみで試されている時期ではあるが、チームとしては待望の生え抜き四番で、球界全体としても求められる右の大砲。お立ち台ではおちゃめな一面を見せることもあるが、こと野球(打撃)に関してはストイック。「しっかりと、自分のスイングをするだけです」とブレがなく、求道者タイプの四番もいい。
文=坂本 匠 写真=BBM