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週刊ベースボール60周年記念企画

巨人軍100万のファンに答える/週べ1962年8月20日増大号【229】

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

王貞治の野心


表紙は左から東映・尾崎行雄阪神村山実


 今回は『1962年8月20日増大号』。定価は10円上がって50円だ。
王貞治の野心』という記事の中で、ついに本誌で初めて「一本足打法」という言葉が登場した。
 ひとまず王の言葉を拾っていく。

──いつから通称一本足打法に。
「ことしのキャンプでやってみたんです。(そのときは)うまくいかないんでやめました」
──動機は。
「バッティングアベレージが去年まで低かったでしょう。これではいかんと考えて工夫してみたつもりです」
──新フォームによる調子は。
「いいですね。打球がよく伸びます」
──伸びる原因は。
「ダウンスイングだからです。いまのフォームですと、前足への体重の移動がスムーズで絶対に下からすくい上げる形にならず、上からボールをたたくダウンスイングに自然になります」
──変化球でかわされると弱いのでは。
「そうでしょうか。ゆるい球にはステップをこう広く、速球には短いステップで、こう右足を下します(実演しながら)」
──研究され、壁にぶつかることも。
「いや、いつまでもこんなに右足を高く上げるフォームではいません。段々足の上げ方を少なくして、最後はすり足でタイミングを取れるようにしようと研究しています。僕の理想はテッド・ウィリアムスのフォームです」
──ホームラン王は。
「さあ、ホームラン王を取れるかどうか分かりませんが、シーズン初めよりは望みを大きくしました」
──どのように。
「ホームラン20本を目標にしていましたが、もう打ってしまったので、それなら30本を記録してみたいといまは考えています」

 質問者の大和球士は、30本どころか、王が過去3年目の合計ホームラン37本に達してしまうのではないか、とも書いていた。
 なお、荒川博コーチに言われ、一本足に再びチャレンジしたのは7月上旬と言われるが、このあたりの経緯は意外と曖昧で、いろいろな説がある。

巨人軍100万のファンに答える』は、優勝争いから脱落しつつある巨人の特集だ。記者が川上哲治の家に出向き、直撃取材をしている。

 川上監督は、開口一番、「ジャイアンツが弱いので、みなさんに迷惑をかけてますな」とニヤリ。
 最強チームを作るには、という問いに「4、5年はかかるでしょうな」と答えた。
「すぐ強くなるには外人選手を入れるのも手ですよ。しかし、巨人軍では外人は入れたくないですね。日本人のプロ野球だし、日本の野球ファンのアイドルが巨人軍だと思うからです。まあ、4、5年先と言ったのは、“くたばれジャイアンツ”と言われるような強大チームになるには4、5年かかると言ったのです」
 有言実行ということか。
 
 8月3日にはフジテレビ、産経新聞、文化放送、ニッポン放送が国鉄と事業提携するという記者会見が行われた。
 三河島160人の死者を出す鉄道事故が起こり、「球団経営などしている場合か」と批判を浴びたこともあったらしい。産経新聞社長・水野成夫は球団株式の25パーセントを持つことになった。

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 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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