今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 巨人に裏切られた真相
今回は『1962年9月3日号』。定価は40円だ。
投手コーチ、
別所毅彦の退団から始まった、あるいは表面に出た
巨人のバタバタは続いている。
巻頭は『緊急座談会巨人に賭け屋とスパイはいたのか』という物々しいものだ。記者や関係者ではなく、
川上哲治監督以下、
荒川博コーチ、
広岡達朗らが首脳部がずらりと出席。
どうやら別所退団騒動の後、さまざまな週刊誌にあることないこと書かれたらしく、巨人サイドが、専門誌でしっかり釈明しておこうという趣旨だったようだ。
そうは言っても当時の巨人バッシングがわからないのと、いまの国会のように歯切れの悪い話ばかりで、一読しても、あまり実際が見えてこなかった。
まず賭け屋との交際を書かれたのは、
牧野茂コーチだったようだ。野球の賭けをし、警察に勾留されたことがある洋品メーカーの社長と知り合いだったことで騒ぎが広がった。これについて読売新聞がしっかり調べたが、問題なしだったらしい。
他球団への情報漏えいと書かれたのは、投手の
藤田元司だった。こちらは前投手コーチ、
浜崎真二が「藤田から聞いた」と、藤田がチームにこういう不満を持っていると、あちこちで話していたことからだったが、藤田は「そもそも全然会ってないですからね」と否定。
ほか川上監督が宗教にかぶれ、影響を受けている。別所ははめられて辞めさせられた、と言ったたぐいの話が続き、当然だが、「すべて誤解」と否定していた。
当時の巨人はいまのジャニーズみたいなものだったのか。
ただ、そのすぐ後に、別所毅彦の「巨人に裏切られたという真相」という手記があった。それも7ページにわたり文字でぎっしりだ。相当の情報量である。
別所の結論は、「あの事件が外にもれたのはおかしい。自分は川上にはめられた」というものだった。
これを巨人の座談会の後に載せてしまうのは、公平といえば公平だが、いまの編集部でやる勇気はない……。
夏の甲子園は作新学院高が春夏連覇。センバツ優勝の功労者、エース・
八木沢荘六が赤痢で隔離される中、第2投手、加藤の力投が光っての快挙だった。
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日本ハム編』『阪神編』『
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM