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豊田泰光に移籍話が……/週べ1962年10月1日号【235】

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

尾崎行雄、今度は目の負傷


表紙は左から東映・水原茂監督、尾崎行雄


 今回は『1962年10月1日号』。定価は40円だ。
 
 9月半ば。セ・リーグは首位を走っていた阪神が7日から6連敗。15日に1日だけだが肉薄していた大洋に抜かれ、2位となった。さらに中日まで上がってきて一気に混戦模様となってきた。

 阪神は、三塁手・三宅秀史が離脱中。試合前練習でキャッチボールをしていた小山正明の球が逸れ、これを左目にまともにくらったためだ。いまだ入院中。遊撃手・吉田義男は「攻守に響いています」とこぼしていた。

 一方、パ・リーグは、ほぼ東映で決まりなのだが、ややもたついている。要因は7月11日に18勝目を挙げた新人・尾崎行雄の急失速だ。指先のマメに苦しみ、一時離脱もあったが、いまだ18勝のまま勝利に見放されたうえに、今度はノックの球を左目に受け、負傷。さすがの楽天家も「僕はついてない」と嘆いている。

 一方、優勝絶望となったチームからは早くもキナ臭い情報が出始める。西鉄では、豊田泰光助監督放出が濃厚との記事があった。
 中西太監督とともに、選手兼任。シーズン前は同じく兼任でコーチとなった稲尾和久と3人で「青年内閣誕生」と騒がれたが、チームの不振もあり、もともと性格的に合わず、距離があった中西との関係が、完全に冷え切ったようだ。

 豊田は、この年「十年選手」の権利を得ている。これは球団に対して規程の金額のボーナスを要求できる権利で、それを球団が出さない場合、他球団への移籍権が与えられるというものである。

 西鉄は、外国人選手の補強にすでに動いており、豊田の希望するボーナス金額は出さないのでは、という話がもっぱらだったようだ。

 かつて大活躍し、この年から阪急に復帰したレインズは閉幕を待たず、解雇。
 来日前から離婚した夫人への慰謝料と子ども養育費の未払いで訴訟になっていたが、阪急はこの2000ドルを肩代わりする形で支払い、獲得にこぎつけた(失礼しました。初出から修正)。
 だが、実際には、この金は夫人のもとに渡っておらず、レインズ側から再度、同程度の金額の肩代わりを頼まれたが、すでに体力の衰えていたレインズに、これ以上支払っても、となったらしい。
 
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 では、またあした。

週刊ベースボール編集部

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