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球団別オールタイム・ベストオーダー

近鉄バファローズ 愛すべき追憶の猛牛軍団/球団別オールタイム・ベストオーダー

 

80年を超えるプロ野球の歴史は、それぞれの球団、それぞれの監督や選手たちが紡いできたものだ。1人1チームを原則に、名将、名選手たちが時空を超えて集結。オールタイムの“優勝チーム”を探してみよう。

最後の栄冠は2001年リーグV


近鉄・中村紀洋


 2リーグ分立の1950年に参加、公募により近鉄沿線の特産品にちなんだ“パールス”が愛称となる。既存球団からの選手の引き抜きが過熱している中、引き抜き自粛の申し合わせを順守した唯一の新球団でもあったが、皮肉にも戦力不足によって長く低迷した。だが、見方を変えれば、創設期の紳士的姿勢による暗黒期は、のちに近鉄が描いたドラマへ躍動感を与える不可欠な伏線だったかもしれない。

 巨人の二塁手だった“猛牛”千葉茂を監督に迎えて59年には愛称が“バファロー”に。62年が“バファローズ”元年だ。79年に初のリーグ優勝、翌80年に連覇も、日本一には届かず。88年には最終戦ダブルヘッダー“10.19”で1勝1分に終わって優勝に届かなかったが、翌89年には逆襲のリーグ優勝。“大阪近鉄バファローズ”3年目となる2001年のリーグ優勝が最後の栄冠となる。

 日本一の座を経験しないまま、04年に球界再編の荒波へと消えていった。そんな愛すべきチームの名選手たちを振り返ってみる。

【ベストオーダー】
監督・西本幸雄

一(二)大石大二郎

二(一)新井宏昌

三(左)ブライアント

四(指)チャーリー・マニエル

五(右)タフィ・ローズ

六(中)土井正博

七(三)中村紀洋

八(捕)梨田昌崇

九(遊)石渡茂

投手 鈴木啓示

 エースは鈴木啓示。その背番号1は近鉄で唯一の永久欠番でもあり、近鉄ひと筋で通算317勝を残した“草魂”の左腕だ。鈴木に続く左腕は阿波野秀幸だろう。“10.19”では苦杯をなめたが、翌89年には19勝を挙げて近鉄を優勝へと引っ張った。右腕では、優勝経験はないものの、翌90年にデビューした野茂英雄のインパクトは強烈だ。

 一方、79年からの連覇に貢献した右腕が井本隆。創設期には、54年に26勝、55年には完全試合を達成した武智(田中)文雄もいた。リリーバーは吉井理人赤堀元之大塚晶文が“救援三本柱”となりそうだ。

 投手陣に不安は少ないが、優勝候補に挙がってくる投手王国に比べれば層は厚くない。象徴的なのは創設期メンバーで左腕の関根潤三で、2リーグ制で通算50勝と1000安打を超えた唯一の選手。同じサウスポーには外野手ながら1年目はマウンドにも上がった漫画『あぶさん』のモデルにもなった永淵洋三もいて、2年目の69年には首位打者にも輝いた好打者だった。やはり近鉄は打線のチームと言える。

 63年には関根を中心に打線が活性化して“ピストル打線”と呼ばれたが、すでに他のチームにあった愛称の“ダイナマイト”や“ミサイル”に比べれば、ちょっとだけ迫力に欠ける印象はあった。だが、近鉄の最後を飾った“いてまえ打線”には破壊力を超越した勢いがあった。オールタイムでも打線は元気。優勝候補のチームにも決して負けていない。

 外国人枠などを無視すれば、四番打者に適性がある長距離砲がズラリと並ぶ。打線で優勝経験がないのは土井正博だけ。2年目に“18歳の四番打者”と騒がれた強打者で、近鉄ではタイトルに届かず“無冠の帝王”とも呼ばれ、のちに四番も増えたが、ここでは若手時代に多かった六番・中堅へ回った。

 さらに、最後の優勝となった01年の四番打者で、“いてまえ打線”の主砲だった中村紀洋が、やむなく一軍に定着した94年に多かった七番へ。これで結果的に、三番から七番までがクリーンアップと言える超強力打線となった。

率いるは“悲運の闘将”


近鉄・西本幸雄監督


 四番・指名打者は初優勝の使者となったマニエル。その前後に、89年の優勝を呼び込んだブライアント、“いてまえ打線”で01年に当時のシーズン最多に並ぶ55本塁打を放ったローズが並んだ。指名打者の印象も強いブライアントが、ここではブレークした88年に多かった左翼に。右翼のローズ、中堅の土井と長距離砲だらけの外野陣となったが、外野守備は不安だ。

 一方、三塁に中村のいる内野陣には安定感がありそうだ。二塁の大石大二郎(第二朗)は盗塁王3度の韋駄天。一塁へ入った新井宏昌は外野手だが、88年は一塁が多く、外野守備でも肩より足で貢献したタイプだった。小柄ながら長打力も光った大石と、87年に130試合歳で最多となる184安打を放った首位打者に輝いた新井の一、二番で強力クリーンアップにつなぐ。

 その前でもある九番・遊撃には初優勝の79年と同じく石渡茂で、前のめりになりそうな打線にあって、貴重な職人タイプ。連覇となった80年に二塁へ回った石渡の後に遊撃へ入った吹石徳一でもいい。

 外国人枠で助っ人勢が制限されても問題はない。外野手では三番打者として連覇を支えた佐々木恭介を筆頭に、“和製ヘラクレス”栗橋茂や“北海の荒熊”鈴木貴久、最後のリードオフマンでもある大村直之もいる。

 新井を外野へ戻せば、一塁には“モーやん”小川亨や94年に打点王となった石井浩郎らの強打者が控え、三塁には中村と同じく和製大砲の羽田耕一もいる。八番で司令塔には最後の優勝監督でもある“コンニャク打法”の梨田昌崇を据えたが、鈴木との相性では梨田との“アリナシ・コンビ”で鳴らした有田修三に軍配。89年V戦士の山下和彦ら、捕手も盤石なのが近鉄の隠れた特徴だが、あえて控えに温存したい捕手が01年にプロ野球で唯一の代打逆転サヨナラ満塁“優勝決定”本塁打を放った北川博敏だろう。

 率いるのは初優勝に導いた西本幸雄監督。スキも多いが、それを補って余りある勢いにあふれたドラマチックな近鉄で、そのキャリアはプロ野球の監督で最もドラマチックとも言える“悲運の闘将”が采配を振るう。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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