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プロ野球仰天伝説

メーカーも舌を巻く感覚を持っていたオマリー/プロ野球仰天伝説182

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

2、3度スイングを繰り返して……



 1990年代、阪神、ヤクルトで活躍したトーマス・オマリーは用具メーカー泣かせとして知られていた。

 常人には計り知れない繊細なバランス感覚を発揮し、いくつにも細分化されたオーダー項目の完璧履行を要求するのだ。

 バットのグリップの太さから、重量の幅まで、それこそ数ミリ、数グラム単位の世界がそこに展開される。「開幕時の4月が930グラムで、以後1カ月ごとに10グラムずつ落としていく」(担当者)という特装バットが、メーカーの真空密閉室に保管されていた。

 1度、こんなこともあったという。メーカーが注文どおりに納入した新品のバットを手にしたオマリーは、2、3度スイングを繰り返した後に、担当者をつかまえて「ちょっと感覚が違う」と言ってきたという。

 半信半疑で再度採寸し直してみたところ、グリップの太さが0.5ミリ以下で確かに薄い。「恐れ入った」と舌を巻く担当者にオマリーが再び近寄り、そのバットにワックスを塗り出した。

「これでちょうどいいはずだ」と笑って差し出したグリップの寸法は、ピッタリの注文サイズになっていた。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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