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週刊ベースボール60周年記念企画

阪神・村山実の快投/週べ1962年10月29日号【239】

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

中日・ニューク初比登板


表紙は阪神・藤本定義


 今回は『1962年10月29日号』。定価は40円だ。
 阪神─東映の日本シリーズが始まった。この号では3試合目までがレポートされている。

 第1戦(甲子園)は阪神・小山正明、東映・土橋正幸の先発。5対5の延長10回裏、四番手・尾崎行雄から吉田義男が犠飛で1点を取って阪神がサヨナラ勝ち。10回表二死から先発・小山をリリーフし、毒島章一を三振に斬って取った村山実が勝利投手となった。

 続く第2戦は阪神先発・村山の一人舞台。8回途中まで完全試合の快投で完封勝利。しかも右手の指が腱鞘炎のため冷たくなり、マウンドで息を吹きかけながらのピッチングだった。人差し指と中指は真っすぐ伸びない状態になっていたという。
 
 1日あけ、神宮に舞台を移しての第3戦は延長14回2対2の引き分けだった。ただ1試合目5の0、2試合目3の0だった東映の三番・毒島が5回途中から二番手で投げていた村山からソロ本塁打、7回には、同じく村山から第1戦で3失策の岩下光一がタイムリーで同点に。少しだが、阪神一辺倒の流れが変わりつつある感じもある。

 阪神打線で好調を維持するのは第2戦で3ランを放った四番・藤本勝巳。シリーズ後には歌手・島倉千代子さんとの婚約発表を控えていた。

 ペナントレースでは、シーズン最終戦の対広島でメジャーの149勝投手、中日ニュークがついにマウンドに立った。本人は「気が進まない」と最後まで嫌がったが、オーナー直々の指令と聞いて4イニングを投げた。タイムリーを浴び2失点に、これまで記録だけを見ていたときは「やはり一度引退した選手の球なんて」と思っていたが、記事を読むと、球も速く、チェンジアップは捕手が捕球にもたつくほど変化した、という。
 小社には「中日野手ニューク」はあるが、「中日投手ニューク」の写真は残っていない。消化試合とあってカメラマンを派遣しなかったのだろう。残念。

 ちなみにMVPを取れなかった小山には沢村賞とセ・リーグから優秀功労賞が贈られた。
 小山は照れ隠しもあってだろうが、
「ほんとにこんな賞があったんかいな。今年の俺のために作ったんと違うか」
 と言っていたとか。

 以下宣伝。
 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』『ロッテ編』が発売中。現在、『広島編』を6月29日発売予定で鋭意制作中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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