シーズンも間もなく折り返し地点を迎えるが、果たして現在、チームで最も安打を放っている打者は誰なのか? セ・リーグ6球団の、チームを勝利に導くヒットメーカーを紹介していこう(記録は7月1日現在)。 埼玉西武ライオンズ
6月27日の
オリックス戦(メットライフ)で、12球団最速で100安打に到達。12球団一のヒットメーカー、秋山翔吾は今季、順調に安打を重ねている。ここまで72試合で105安打、年間208安打ペースだ。2015年、自身が記録したシーズン最多216安打にはわずかに届いていないが、本人は当然、シーズン中は数字に左右されないメンタリティーを持つ。
日本ハムの
近藤健介、
ソフトバンクの
柳田悠岐と激しい首位打者争いも繰り広げているが、チームの勝利最優先のバッティングを続けていけば、おのずとタイトルは背番号55の手の中にあるだろう。
北海道日本ハムファイターズ
日本ハム・近藤健介
球界を代表するヒットメーカーとして、初の首位打者獲得に燃える。日本ハム不動の三番打者としてチーム最多の安打を放っているのが近藤健介だ。全方向に打ち分けられる高い技術で3割5分以上のハイアベレージを維持し、6月を終えた時点で出塁率.465、OPSは1.054、長打率.588と打率以外でも驚異的な数字を残している。あの
大谷翔平(現エンゼルス)をして「近藤さんはちょっとレベルが違う」と言わしめた才能。シーズンが終わったときにどんな成績を残しているのか。完全覚醒した天才打者のバットから目が離せない。
福岡ソフトバンクホークス
ソフトバンク・柳田悠岐
調子の上がらないチームにおいて、打線のカギを握るのが四番に座る柳田悠岐だ。
上林誠知、
松田宣浩とともにここまで全70試合に出場。チームトップの成績は93安打に限られない。打率.343、18本塁打(
デスパイネも同数)、15盗塁、54打点は、盗塁を除きリーグの上位5傑にもランクインしており、
松中信彦(元ダイエー・ソフトバンク)以来の三冠王、それに盗塁王も加えた4冠王も決して夢ではない。現在、チームに打順の組み替えが多く見られるのも、上位打線に関してはいかに柳田の前に走者をためるかを重要視しているから。かけられた期待の大きさを感じながら、四番のフルスイングがチームの停滞ムードを一掃する。
オリックス・バファローズ
チーム唯一の全試合出場を続けている吉田正尚が安打数も85と、2位の
ロメロの60安打を大きく引き離してチームトップ。好不調の波も少なく、出場74試合で連続無安打試合は最長で2試合。対照的に13試合連続安打を記録と、コンスタントに結果を残している。豪快なスイングが魅力の左の長距離砲だが、打率も.317とハイアベレージ。変化球に対しても体勢を崩しながらバットでボールを拾う巧打を見せるなど“巧さ”も兼ねそろえているからこそ信頼も厚く、6月10日からは四番として打線をけん引している。
千葉ロッテマリーンズ
カモメの斬り込み隊長がここまでチーム最多の87安打を放ち、打線の火付け役となっている。これまでケガと隣り合わせの野球人生。1年間、最後まで一軍に貢献し続けたことはないが、今季は折り返し地点でキャリアハイの94安打が目前になっている。それでも本人は「出塁率が……」と課題を口にする。確かに打率.303に対し12四球、出塁率.343は物足りない。逆に言えば後半戦に向け、まだ伸びしろがある。上位進出が見えてきたチームを後半戦もけん引していくはずだ。
東北楽天ゴールデンイーグルス
打率.256と決して本調子ではない。それでも、地道に積み上げた65安打はチームトップの数字だ。昨季は故障離脱の時期を除けば不動のトップバッターとして機能。後ろに控えるペゲーロとともに「恐怖の一、二番コンビ」として怖れられた。だが、今季は昨オフに行った右ヒジ手術の影響もあり、本調子とまではいかない。ただ、最近では一番・
田中和基、二番・茂木栄五郎、三番・
島内宏明による新打線「タナモギアイランド」が効果を発揮しつつある。巻き返しはこれからだ。
写真=BBM