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都道府県別ドリームチーム

【熊本県】黄金時代を築いた名将&好打者の宝庫/都道府県別ドリームチーム

 

いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……?

全国きっての強力打線



 阿蘇山の伏流水は熊本城下に流れ込み、やがて有明海に至る。山の幸、海の幸に加えて水にも恵まれている熊本県は、“肥後もっこす”と呼ばれる頑固な男たちが多いという。名将には頑なさが必要なのかもしれないが、そんな熊本県の出身選手たちは、日本一に導いただけでなく、やがて黄金時代を築いた監督が多い。

 選手としては打高投低の傾向がある。投手のレベルが低いわけではない。エースは“お化けフォーク”でゲーム19奪三振のプロ野球記録を樹立した野田浩司。スターターでは山内孝徳(南海)や現役で左腕の岩貞祐太阪神)、リリーバーにも柏田貴史巨人)、馬原孝浩ソフトバンクほか)の左右がそろっている。打者のレベルが高すぎるのだ。

【熊本ドリームチーム】
一(二)荒木雅博中日)★

二(遊)古葉竹識広島ほか)

三(中)秋山幸二(西武ほか)

四(一)川上哲治(巨人)

五(三)江藤慎一(中日ほか)

六(左)松中信彦(ソフトバンク)

七(右)前田智徳(広島)

八(捕)伊東勤(西武)

九(投)野田浩司(オリックスほか)
(★は現役)

 打者としても監督としても実績で群を抜くのが四番の川上哲治だ。打っては“打撃の神様”と呼ばれ、のちに監督として巨人を空前絶後のV9に導いた。選手としては優勝に縁がなかったが、巨人のV9が幕を下ろしたセ・リーグで、広島を黄金時代に導いた古葉竹識(毅)が二番にいる。

 続く三番には選手として西武とダイエーを黄金時代に導き、ソフトバンクの監督として黄金時代を継承した秋山幸二。二番から四番まで日本一監督が並んだが、八番の伊東勤も西武の黄金時代を支えた司令塔で、現役を引退してすぐに西武の監督となり、レギュラーシーズンは2位で終えたが、導入されたばかりのプレーオフでダイエーを破り、そのまま日本一へと導いた。

 その04年にダイエーで“平成の三冠王”となったのが松中信彦で、九州ホークス黄金時代の立役者。そんな松中でも打順は六番だ。川上と松中に挟まる五番打者は、優勝監督にはならなかったが、“闘将”と呼ばれた江藤慎一。打者としても闘志みなぎり、プロ野球で初めて両リーグ首位打者となった強打者だ。

 七番といえば下位打線だが、ここではクリーンアップと言える。続くのは広島の誇る好打者で、通算2000安打にも到達した前田智徳。17年に通算2000安打に到達したのが唯一の現役でリードオフマンの荒木雅博。秋山、川上、江藤と合わせて5人が2000安打、松中と伊東も1500安打を超えている。古葉も長嶋茂雄(巨人)と首位打者を争った巧打者だ。

守備の不安もバットで解消


ソフトバンク・松中信彦


 巨人勢を中心に控えも盤石。川上と熊本工でバッテリーを組んだ捕手で、のちに戦死したが「生きていたら巨人の歴史が変わっていた」と言われた豪傑の吉原正喜、川上監督時代の巨人で“史上最強の五番打者”と呼ばれた末次民夫(利光)と柳田俊郎(真宏)、韋駄天の緒方耕一ら。ほかにも西鉄黄金時代の高倉照幸日本ハムの四番打者として81年の優勝に貢献した柏原純一もいる。

 守備は荒木と古葉の二遊間に中堅の秋山らセンターラインこそ強固だが、一塁の川上を筆頭に、ところどころに穴がある。外野には“スパイダーマン”山森雅文(阪急)もいるが、ここまでの強力打線であれば、守備の失点はバットで取り返すのが近道だろう。投手のコマが少ないだけに、代打のタイミングが勝負の分かれ目となるかもしれない。

写真=BBM
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