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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

太さの違う指。オリックス・12球団一のチーム防御率の裏に。

 

守るのは本塁ベース。得点を左右する場所を託されているからこそ、若月は自分の“目”と“感覚”を大事にしている


 話しが進むと、両手の人さし指を並べて見せてくれた。目の前にある2本の指は太さが違う。

 プロ5年目のシーズンを送る若月健矢。高卒2年目に一軍デビューを飾り、3年目の2016年から一軍に定着。昨季は初めて、シーズンを通して一軍でマスクをかぶった。

 そんな中で、プロ入り初めてキャッチャーミットを改良。1年目の春季キャンプから愛用してきた相棒だが、盗塁阻止率の向上を期して、ポケットを浅くし、捕球時にボールが抜け出ないように、ウエブの先端のレースをクロスで巻いて強度を上げた。

 他にも多岐にわたるミットのこだわり。それは、“捕手”というポジションに真摯に向き合うからこそ生まれたものだ。

「僕にはキャッチャーしかないですからね」

 野球人生の勝負をかける場所で、ともに戦う相棒。その話しを聞く中で、常に守備用手袋を使用しない理由を問うと、こんな答えが返ってきた。

「どうしても暑くて、汗がすごい出る日は、滑ってしまうので手袋を着けるんですけど、基本はしたくない。僕、サングラスも同じ理由でかけないんです。なんか、自分が本当に見ている世界と違う気がするんですよ」

 自身が出すサイン1つ、その一球で試合の流れが左右する。だから、自分の目で確かめ、自信を持ちたい。そんな思いが隠れていた。

 手袋に関しても同様。投手のボールをより自分の感覚で確かめるため、より素手に近い感覚で捕球したいのだ。

 とはいえ1日に受けるボールは数えきれないほど。それも、長いシーズンを通して毎日だ。ふと、当たり前のことを聞いてしまった。

『手が腫れて痛くはないのか』――。

 すると22歳の若き捕手は、少し照れながら「そりゃ痛いですよ」と答えると、両手の人さし指を2本並べた。

「もう、こんなに太さが違うんです」

 そのときの表情は少しだけ、誇らしげだった。

 7月3日時点で12球団一のチーム防御率3.50を誇るオリックス。それは、より投手の調子を探ろうと、体を張って日々、ボールを受け続ける捕手の努力が実っている証しでもある。


文=鶴田成秀 写真=BBM

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