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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

どんな状況でも決して暗い表情を見せない今江年晶の存在感

 


 監督推薦によって、楽天の今江年晶が5年ぶり3度目のオールスター出場を決めた。勝負強い打撃で四番も務める今江は「素直にうれしい。チームの代表として恥じないようなプレーをしたい」と笑顔で意気込みを語っている。プロ17年目。ベテランとなったが「(オールスターには)若手のいい選手がたくさんいるので、どのように打ったり、守ったりしているかも聞いてみたい」と話すなど、その探究心は衰えることがない。

 4月21日のオリックス戦(楽天生命パーク)ではプロ野球史上286人目となる通算100本塁打にも到達した今江だが、2016年にFA権を行使しロッテから楽天に移籍すると同年は89試合、17年はケガにも悩まされ51試合出場にとどまった。また、本職のサードにはウィーラーがおり、熾烈なポジション争いを余儀なくされ、代打や一塁での出場も増えていった。

 だが、今季は開幕から打撃を中心に活躍。得点圏打率も3割を超えるなど、勝負強さも光っている。さらには6月16日にウィーラーがケガで離脱したことで、本職の三塁に入る機会が増えると何度も好守を見せ、ゴールデン・グラブ賞を4度受賞しているその実力を見せつけている。

 それも年を重ねても努力を怠らないからこそ。練習中も守備に、打撃に、集中力を切らさない。また笑顔で若手に声をかけるなど、決して暗い表情を見せることなくグラウンドに立つ姿は頼もしい。一塁に入れば安定した守備に加え、積極的に投手に声をかけにいくなど、苦しむチーム状況の中で精神的支柱としてもその存在感は増すばかりだ。

 サッカー日本代表はワールドカップで「おっさんジャパン」と呼ばれながら決勝トーナメント1回戦で世界ランク3位の強豪・ベルギーに善戦。おっさんと揶揄されながらも若い選手にも劣らぬ体力と、経験を重ねたからこその強さが光った。状況は違えど楽天も今江をはじめ岸孝之渡辺直人らベテラン勢の奮闘が光る。酸いも甘いも経験しV字復活を遂げた今江には、チームを上昇気流に乗せる活躍に期待したい。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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