マウンドにうずくまる黒木。これが17連敗目
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は7月7日だ。
7月7日、七夕の
オリックス─
ロッテ戦。GS神戸には平日にもかかわらず2万人の観衆が集まり、異様な盛り上がりを見せていた。
ロッテの先発は、ここのところクローザーとして起用され、先発は6月18日以来となる
黒木知宏。ロッテは3対1とリードし、9回裏オリックスの攻撃を迎えていた。
黒木の球威は衰えず、先頭の
イチローを三振、
ニールにライト前ヒットを許すも、
谷佳知をファウルフライで二死。続くプリアムも2ストライク1ボールと追い込む。
1球外した後の139球目だった。サインどおり、プリアムが苦手なはずの内角低めの速球を投げ込んだが、プリアムがまさかの同点2ラン。黒木はそのままマウンドに崩れ落ち、交代。ベンチ裏で号泣した。
そして同点で迎えた延長12回裏にロッテの三番手・
近藤芳久からオリックスの
広永益隆が満塁サヨナラ弾。試合後、黒木は脱水症状と体力消耗から全身がけいれんし、コーチに抱きかかえられながら無言でバスに向かった。
6月13日から始まったロッテの連敗はこれで17。単独のチームワースト記録になった。さらに翌日も破れ、18連敗。ようやく泥沼から脱出したのは、7月9日のオリックス戦だった。
ただし、18連敗は決して一方的なものではなく、逆転負け10度、サヨナラ4度と紙一重の試合も多かった。
今回は18連敗を簡単に振り返ってみよう。
6月13日オリックス戦4対6(千葉マリン)
※4回終了時点では4対2とリードも先発・
小宮山悟が5回にKOされ、連敗のスタートを切る。
6月16日近鉄戦8対12(藤井寺)
※14日オリックス戦は雨で中止。この試合は18安打で8点を挙げるも12点を取られ負け。4併殺も痛かった。
6月17日近鉄戦6対9(藤井寺)
※6点を挙げたが、15安打9得点を許し、3連敗となった。
6月18日近鉄戦5対7(藤井寺)
※一時は5対2とリードしたが9回裏に追いつかれ、延長11回裏、近鉄・
吉岡雄二がサヨナラ2ラン
6月19日
日本ハム戦0対7(東京ドーム)
※4回終了時0対0も以後7点を取られ、完封負け。
6月20日日本ハム戦2対3(東京ドーム)
※
武藤潤一郎の好投で8回を2対0もその裏、黒木投入が裏目で逆転負け。
6月21日日本ハム戦10対11(東京ドーム)
※10対9とリードしての9回裏、日本ハム・
田中幸雄が同郷宮崎の黒木からサヨナラ2ラン。
6月23日
西武戦0対4(富山アルペン)
※先発・
薮田安彦が4失点完投も報われず、借金は10に。
6月24日西武戦5対6(富山アルペン)
※0対5から追いついたが、延長11回裏二死、西武マルティネスのレフト前ヒットでサヨナラ負け。
6月26日近鉄戦1対3(千葉マリン)
※9回同点に追いつくも、11回表、黒木がまたも打たれ逆転負け。
6月27日近鉄戦1対3(千葉マリン)
※1対1の8回に2点失う。「良薬があったら逆に教えてほしい」と
近藤昭仁監督。
6月28日近鉄戦2対6(千葉マリン)
※ファンが怒り爆竹騒ぎもあった。
中村稔コーチがフロントに転身。
6月30日西武戦5対5(福井県営)
※5対3から追いつかれたが、延長12回引き分け。
7月1日西武戦4対7(金沢)
※雨で3度中断もあった。「こうなればあさって小宮山に頑張ってもらうしかない」と近藤監督。
7月3日ダイエー戦3対4(千葉マリン)
※小宮山の完投も実らず。客席からゴミが投げ込まれる。
7月4日ダイエー戦7対10(千葉マリン)
※試合前にお祓い。総力戦となり、9回に追いつくも延長11回で負け。
7月5日ダイエー戦3対10(千葉マリン)
※プロタイの16連敗。試合後、ロッテファン500人あまりが球場前で40分にわたって応援歌。
7月7日オリックス戦3対7(GS神戸)
※七夕の悲劇
7月8日オリックス戦7対8(GS神戸)
※先発薮田が6失点でついに18連敗。
この年、ロッテは最下位ながら打率1位、防御率2位。61勝71敗3分だったが18連敗を抜きで見たら61勝53敗3分と決して力のないチームではなかった。
写真=BBM