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プロ野球事件簿

前代未聞じゃなかった荷物遅れの試合中止

 

優しかった藤原満さん


当時の週べに載っていたイラスト


 7月6日、ナゴヤドームでの中日ヤクルトが珍事で中止となった。

 ヤクルトは前日5日、マツダ広島での広島戦が雨天中止となった後、しばらく同球場で練習を行ってから用具をトラックに載せた。しかし、記録的大雨の影響により交通規制で高速道路が使えず、ナゴヤドームへの用具の到着が間に合わなかったのだ。

 少し前にトラックを出した広島は、東京ドームの試合に間に合ったというから、まさに紙一重のタイミングだったのだろう。

 前代未聞の事件と言いたいところだが、実は、過去に一度あった。

 1979年7月13日の日本ハム─南海戦(後楽園)である。

 原因は、東名高速道路で起きた日本坂トンネルの大事故。南海の道具を積んだトラックは中央道に回ったが、大渋滞で試合開始に間に合わず、中止になったのだ。

 西宮で阪急と対戦し、ほぼ同じ時間に出発した西武の荷物車は、さらに回り道をしても午後2時半過ぎには所沢に着いていたというから、南海もガッカリしただろう。

 ようやくトラックが到着したのは深夜。携帯もなかった時代だが、無線でドライバーはいろいろ文句を言われたのではないか。それでほぼ休みなく運転し、やっと東京に着いたと思ったら、翌日の試合は雨で中止。

 運送会社にカッカして文句を言う球団関係者もいた中で、南海・藤原満は「せっかく無理しながら運んでもらったのに、今度は雨で中止とはね。運転手さんは大変だったでしょう」と同情していた。
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