第89回都市対抗野球大会は7月13日から12日間、東京ドームで行われる。前年優勝で推薦出場のNTT東日本(東京都)のほか、全国12地区の予選を勝ち抜いた32チームが出場。優勝チームが手にできる栄光の「黒獅子旗」をかけた社会人野球の祭典の注目選手を紹介していく。 全国デビューは圧巻の奪三振ショー
1年前の全国デビューは目の覚めるような奪三振ショーで幕を開けた。昨年の三菱自動車岡崎との都市対抗1回戦、先発マウンドを任された吉川峻平は初回をいきなり三者三振、その後もルーキーの快投は続き9回2失点、14奪三振で完投した。
今年の予選もニチダイとの初戦で延長11回を1安打無失点に抑えるなど好投、再び東京ドーム行きを決めた。
先発した3試合すべてで勝利した吉川だが、実はまだフルスロットルでエンジンをかけていない。ストレートと見分けがつかないとされる魔球・シンカーの使用頻度を抑え、伝家の宝刀に頼らない組み立てでマウンドに上がっていた。
「今年1年間はそういうふうにやろうと思ってやっていた中でああいう緊迫感、重圧のかかる試合の中でやれたことは収穫になったと思います」
そのスタイルは都市対抗の大舞台でも変えるつもりはない。
「自分でも伸びシロがあると思っているので、そういう意味でも、シンカーばっかりに頼っていたらダメだなと思ってやっていることなので、それはどんな舞台でも変わらずそういうスタイルでやりたいです」
視線の先にあるのは、目の前の結果以上に投手としての成長。ドラフト1位候補と言われることについて本人は「自分がやってきたことを見てもらった上での評価なら、もちろんうれしいと思います」と多くを語らなかったが、北口正光監督からは「ドラフト1位で行きたいなら、東京ドームで3つ勝て」と発破をかけられている。
今年立てた目標は「相手を圧倒するピッチング」。昨年を超える衝撃に期待がかかる。
写真=BBM