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高校野球リポート

夏の甲子園“不出場”だが魅力たっぷりのドラフト候補たち

 

涙をのんだ本格派


日本文理・鈴木裕太


 明日8月5日に幕を開ける第100回全国高等学校野球選手権記念大会。全国各地で開催された地方大会を勝ち抜き、甲子園切符を勝ち取った代表校は56校だが、惜しくも敗れたチームの中にもプロ注目の“ドラフト候補”は多数いる。

 出場していればスピードガンに注目が集まったであろう“本格派”たちが次々と涙をのんだ。今春の県大会で、新潟県の高校球児で史上初となる150キロの大台を突破した日本文理・鈴木裕太は、4回戦で新潟に敗戦。身長182センチ、体重87キロの恵まれた体格から上半身を中心に腕を振るパワーピッチャーだが、最後の夏は初回に3失点と立ち上がりに苦しんだ。

 昨年の練習試合で早くも151キロを計測した倉敷商・引地秀一郎も今夏は岡山大会準決勝で創志学園に敗れた。同校OBで今年、急逝した星野仙一氏を彷彿とさせるマウンド度胸も魅力な右腕に複数球団が興味を示している。引地と同様、昨秋に早くも150キロの大台を突破して注目を集めていた菰野・田中法彦は三重大会3回戦で白山に敗れ、プロ注目の“速球派”たちは、聖地にたどりつくことはできなかった。

 今春のセンバツに出場したドラフト候補たちも連続切符を手にできず。最速148キロの松山聖陵・土居豪人は愛媛大会2回戦敗退。センバツ3回戦(対花巻東)で9回無安打の好投も、延長10回サヨナラ負けを喫した技巧派・増居翔太は滋賀大会で姿を消した。

 DeNA細川成也の弟で、今春センバツでは新球・ツーシームで打者を翻ろうし、打っては大阪桐蔭・根尾昂から本塁打も放った明秀日立の細川拓哉も、茨城大会準々決勝で涙を流し、昨秋の神宮大会を制した明徳義塾のエース・市川悠太は高知大会決勝で高知商に敗戦。スカウトたちから「ブレーキが効いて浮き上がる」と称したスライダーを武器に、聖地帰還はならなかった。

 野手では、関東一で1年時から試合に出場し、経験豊富な強打の捕手・石橋康太、早実で2年時から四番を務めた野村大樹、昨夏、三番打者として甲子園4強入りを果たした天理・太田椋、今春センバツ4強入りした東海大相模の右の長距離砲・森下翔太ら、一度は聖地の土を踏んでいる面々も、最後の夏は代表権をつかむことができなかった。

 彼らの“野球部”としての高校野球は幕を閉じたが、9月3〜9日に「第12回 BFA U18アジア野球選手権大会」が宮崎県で開催され、彦根東・増居、明徳義塾・市川、天理・太田は、第1次候補の選出されている。最終メンバー18人は、甲子園大会中に発表されるが、昨年の履正社・安田尚憲(現ロッテ)のように、1次候補に選出されていなくても、選ばれる可能性は十分あり、アピールのチャンスは残される。100回記念の甲子園には出場できなかった逸材の中から、プロの扉を開く選手は現れるのだろうか。

写真=BBM
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