口を出したくなった東映・大川博社長
今回は『1963年7月22日号』。定価は40円だ。
巻頭は、首位を走る
巨人の
長嶋茂雄、
王貞治の豪華対談。
2人は相変わらず打ちまくっており、7月8日時点で、打率は長嶋.368、王.350、本塁打が王22本、長嶋19本、打点が長嶋63、王57。いずれも3位以下を大きく離してリーグの1、2位である。
2人の話の中で、長嶋がとにかく「NO砲」と言い続けるのが、面白い。「NOでもONでも、とにかく打てばいいんだよ」とも言っていたが、実は「NO砲」になってほしいと思っていたのではないだろうか。
長嶋が「超芸術品」と称えていたのが、国鉄・金田正一のスローカーブだ。山なりの球で少しだけ曲がるらしいが、それでも見送れば、きっちりストライクになっていたという。
実際、当時を知る記者に聞くと、かなりの山なりだったらしい。ドカベンなら「通天閣投法」か。
巨人は7月6、7日、国鉄と北海道で試合をしたが、話題となっていたのが、国鉄・
浜崎真二監督のヤジ。一本足打法の王が打席に入ると、味方捕手に向かい、
「おい、王の足につかまれ、上げさせるな」。
これには打席の王も吹き出してしまった。
サッポロ・ジャイアンツという大きな瓶のビールが売り出され、売上好調らしい。きょうも暑い。早めに仕事を終え、編集部も暑気払いといきたいところだ。
東映の話もあった。もともとケチ、いや倹約家で知られた東映・大川博オーナーだが、
水原茂を監督に招へいした際、「金は出すが、口は出さん」と言って、これが流行語にもなった。
ただ、この年はそれが少し怪しくなって、試合に負けた後、自ら電話を監督、コーチ、はては選手にまでかけまくっていたという。
国鉄が神宮第二球場を本拠地にというプランは、少しもめている。参議院の文教委から「外苑野球場の建設および運営について私企業に利用されることは国民感情として許すことはできない」という指摘もあったらしい。
中日では1961、62年の30勝投手、
権藤博が苦しんでいる。
7月7日の勝利は39日ぶりの6勝目だった。権藤は
「あまりに打たれるんで、いっそ打者に転向しようかと思うときもある」
と愚痴っていた。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM