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球界デキゴトロジー/8月6日

コリアン特急・宣銅烈の不敗神話ストップ(1997年8月6日)

 

ロペスの場面は、やや頭に血がのぼったか


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は8月6日だ。

 今年はソフトバンクサファテの離脱もあって、真の意味で「守護神」と言える投手が12球団におらず、逆にいえば、終盤までハラハラする展開が多い。

 かつては横浜の大魔神・佐々木主浩中日岩瀬仁紀阪神藤川球児ら、名前がコールされるだけで、相手ベンチにあきらめムードが漂う男たちもおり、佐々木の場合、巨人長嶋茂雄監督が「魔神(長嶋監督はそう言っていた)が出たら終わりだ。8回までに勝負を決めろ」と言っていた。

 優勝イヤーではないが、97年、中日の宣銅烈もすごかった。
 宣は“韓国の至宝”とも言われ、韓国球界の威信を背負っての96年入団だったが、1年目は結果を出せず、期待が大きかったがゆえに母国ではバッシングもあったという。
 97年は背水の陣で挑んだシーズンでもあった。

 得意の速球、スライダーが冴えわたり、開幕からほぼ完ぺき。8月6日の試合前時点で31試合で1勝0敗28セーブ、防御率0.60で、18試合連続セーブポイントの記録を続けていた。

 同日、ナゴヤドームでの広島戦。4対3の9回表にマウンドに上がったときも簡単に二死を取り、記録を伸ばすのは確実かに思われた。

 波乱を呼んだのは現監督、緒方孝市の足だ。
 左前打で出塁後、二盗、三盗。これでリズムが狂った宣は木村拓也に四球を与え、その木村が二盗。ポーカーフェースではあるが、宣の顔が紅潮。カッカしてきたのが分かった。

 続く打者は前の打席ホームランを放っていたロペスだったが、力勝負を挑んで152キロの速球をライト前に弾かれ、この年初の2失点。その裏、味方打線が封じられ、ついに難攻不落の「宣城」も陥落した。

 それでも、さすがにたくさんの修羅場をくぐってきた大投手。
「いつか失敗するんですから大丈夫です。明日から気持ちを切り替えて頑張ります」
 と語り、この年の黒星は、これだけ。43試合に投げ、1勝1敗38セーブ、防御率1.28で閉幕となった。

写真=BBM
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