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DeNA スタジアムの雰囲気を変えた「代打ウィーランド」

 

代打で登場し四球を選び、サヨナラにつなげたウィーランド


 8月3日の広島戦(横浜)。6対6の同点で迎えた延長11回裏、二死一、二塁でラミレス監督が代打に指名したのは、前日の巨人戦に先発して7イニングを投げたウィーランドだった。その瞬間、スタジアムの雰囲気が一変したのが伝わってきた。そして、広島バッテリーはタイムを取り、一岡竜司を中心にマウンドに集まった。

 来日2年目のウィーランドは昨季2ケタ勝利をマーク。その一方で、元々は内野手であり「プライドを持ってやっている」が口癖の打撃がものすごい。昨季は打率.240、3本塁打と野手顔負けのスイングを披露。特に広島戦は13打数7安打、3本塁打、打率.538のハイアベレージで、CSファイナルステージでは代打でのベンチ入りが検討されるほどの相性の良さだった。それだけに広島バッテリーが警戒したのも無理はなかった。

 一打サヨナラのチャンスで打席に立ったウィーランドは内角の真っすぐを2球空振りをするも、粘って四球。チャンスを広げると倉本寿彦のサヨナラ打へとつなげた(7対6)。ラミレス監督の中ではウィーランドが試合を決められなくとも、四球でチャンスを広げることも想定内だったはずだ。なかなか得点できないでいた、こう着状態を変えるすばらしいアイデアだった。

 とはいえ、DeNAはサヨナラの勢いを維持できず、翌4日の同カードに敗れて(2対4)最下位に転落。ラミレス監督就任3年目で初めての屈辱である。選手たちも苦しい状況のなかで苦しみ、もがいている。そうしたチームの中では、球場の空気を一変することができ、チームに活気を与える選手の存在は不可欠。場合によっては、ファームで汗を流す若手を抜てきしてもいい。そして何よりも、ここまで期待に応えられていない本日先発する今永昇太がチームに流れを呼び込むことができなければ、DeNAの浮上はない。
文=滝川和臣 写真=大泉謙也
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