本番までの準備期間は約10日
高知商はダンス同好会がチアリーダーを担当。キャプテンの3年生・池添さんは三塁アルプスから力の限り踊った
まさか……。ダンス同好会のキャプテン・池添里雛さん(3年)は高知大会全4試合を、スタンドで一般生徒と混ざって応援した。
高知商は県大会決勝(7月26日)で明徳義塾の9年連続出場を阻止し、12年ぶりの甲子園切符を決めた。
「7回くらいから泣いていました……。3年生の夏、最後まで見届けたかったんです」
その晩、ダンス同好会の顧問から電話が入った。甲子園応援におけるチアリーディング結成の打診だった。有志を募ると、部員71人中31人が手を挙げてくれた。本番まで約10日しかなかったが、必死になって準備を重ねた。
池添さんは3歳からダンスを始めて以降、バトン、チアダンス、ジャズダンス、バレーと接し、中学時代は器械体操に取り組んだ。「大人数でやるほうが達成感がある」と、高知商ではダンス同好会に入った。
甲子園までに13曲の振り付けを用意したが、吹奏楽部は8月4日までコンクールに出場していたため、準備の都合上、5曲で大阪へ乗り込んできた。ダンスは室内で行うスポーツであり、まずは屋外に慣れることから始めた。猛暑の中、15分ぶっ通しで踊ることも。短期間で最大限の努力を重ねた。
「信じられません。こんなチャンスが訪れるとは、夢にも思っていませんでした。高校3年の夏、自分の振り付けで甲子園で踊ることができる幸せ。感謝の気持ちしかありません」
池添さんは「人とかかわることが好きです」と、高校卒業後は大学へ進学し、将来は社会福祉士、カウンセラーを目指すという。
今年12月、発足12年目にして初めて、高知市内の1000人収容のステージで発表会を行う。右腕エース・
北代真二郎ら野球部員とも親しい池添さん。ダンス同好会の晴れ舞台に、今度は野球部員が応援に足を運ぶはずだ。
文=岡本朋祐 写真=高原由佳