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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

楽天・藤平尚真にも脈々と流れている横浜高の遺伝子

 


 甲子園球場で横浜高が完封勝利したその日の夜、先輩である楽天の藤平尚真が北海道で躍動した。5月13日以来となる一軍登板となった8月9日の日本ハム戦(札幌ドーム)で7回無失点。落ち着いた投球でチームの勝利に貢献し、2勝目を挙げた。後輩たちの活躍は、もちろん刺激になっただろう。

 横浜高は藤平にとってプロで活躍するための基礎を築いた場所。それは藤平の動きを見ていれば分かる。

 以前、PL学園時代に夏の甲子園に出場して松坂大輔中日)擁する横浜高と対戦した平石洋介監督代行に、その強さについてインタビューしたときのことだ。「横浜高校は全員が野球を知っている」と話し、相手のスキを突く野球、一人ひとりの動きや指示がち密で的確だと分析。高校生らしくないレベルだったと振り返る。

 それが今でも受け継がれていることを知ったのは二軍でプレーをする藤平を見たときだった。

「カバーリングの際、行かなくても大きなミスにつながらないとしても、そこにしっかりと行ける。ファウルフライでも、自分がどこに行くべきかを瞬時に理解し、何食わぬ顔で動くことができる。打つ、投げるだけじゃない、プレー以外のところでもたくさんそういうのが出ますから。横浜高校はすごいなと思いますね」

 渡辺元智監督、小倉清一郎コーチがそういった細かなところまで指導していることを対戦した当時はもちろん、プロへと進んだ選手を見ても感じている。

 脈々と受け継がれている横浜高の強さ。渡辺監督が勇退してからもその強さは衰えず、今年も3年連続の夏の甲子園出場を決めた。そして9日、愛産大三河高との初戦で完封勝利。今大会では横浜高の野球のうまさも、ぜひ見てもらいたいところだ。

 プロの舞台で活躍する藤平は今でも、恩師である渡辺監督と連絡を取っているという。勝っても厳しいことを言ってくれるかけがえのない存在だ。今季は二軍での日々が続いていたが、平石監督代行は「このチームを引っ張っていかないといけない存在。あいつがやってくれないと」と期待する。横浜高のエースから楽天のエースへ。後輩たちとともに、この夏、成長を見せつけたいところだ。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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