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2018甲子園

今秋のドラフト候補、報徳学園・小園海斗がチーム全3得点の活躍

 

報徳学園・小園はチームの全3得点をマークし、一番打者としての役割を果たし、8年ぶりの甲子園1勝に貢献した


 聖光学院の捕手・大松将吾は試合前に「小園を出すと、報徳学園打線が勢いづく。警戒しているバッターです」と話していた。小園海斗は相手バッテリーの徹底マークにも臆することなく、真っ向から対峙していった。

 4強に進出した2年春以来の甲子園出場。昨年9月、中学時代に在籍した枚方ボーイズのチームメートである大阪桐蔭・藤原恭大とともに、侍ジャパンU―18代表に名を連ねた。一番・藤原、二番・小園が攻撃の起点となり、銅メダル獲得に貢献している。攻守走3拍子そろったドラフト上位候補だ。

 聖光学院との初戦(2回戦)は一番・遊撃で出場し、初回から躍動した。サイレンが鳴り終わった直後に左中間二塁打で出塁すると、犠打で三塁進塁。三番打者の遊ゴロの間に、50メートル5秒8の快足を飛ばして先制のホームを踏んだ。また、先頭だった3回表の第2打席では右中間二塁打。犠打で三塁進塁すると、三番の右犠飛で生還し、一人で2得点目と、ダイヤモンドを躍動した。

 ネット裏にはNPB12球団のスカウトが熱視線。すでに多くの視察を重ねており、甲子園は「最終確認の場」として位置づけられている。つまり、結果ではなく、内容重視。

 そういう観点で、小園のプレーは中身が伴っており「100点満点」だったと言える。

 広島苑田聡彦スカウト統括部長は「変化球も(自分の)ポイントで打てる。間(ま)が取れているのはウチの丸(丸佳浩)、誠也(鈴木誠也)の共通する部分。プロでも3割打てる」と太鼓判を押した。

 また、中日中田宗男アマスカウトディレクターは「バットの扱いが軽く、確実にボールをつかまえる能力がある。守りもフットワークがあり、打球へ対する入りが良いです。1位候補。1位でないと獲得できないと思います」と絶賛している。

 さらに、ソフトバンク永井智浩球団統括本部編成・育成部長兼スカウト室長は「(1回表の)ヨーイドンで二塁打とは、インパクトが強かった。打撃、守りが良く、足も速いし、他球団もかなりの好評価になるのでは。どこもピッチャー、キャッチャー、ショートは補強ポイントですから」と、興味津々だった。

 この試合、最大の見せ場は2対2で迎えた8回表、3度目の先頭となった第4打席だ。2球変化球を見逃した後、142キロのストレートを素直に弾き返し、左中間二塁打(大会史上28人目の1試合個人最多二塁打3)。またも二番・村田琉晟が3つめの犠打を確実に決めると、三番・長尾亮弥が左前適時打で、小園が決勝のホームを踏んでいる。この日、報徳学園はすべて同じパターンで3得点を挙げた。

「後ろのバッターを信頼している」

 8回裏一死一、二塁のピンチでは、遊ゴロを軽快な動きでさばき「6―4―3」の併殺を完成させ、得点を許さなかった。「守備には自信があります。守りからリズムを作って、バッティングにつなげていくタイプです」。

 攻守走、すべてで魅了した「小園劇場」で、報徳学園は8年ぶりの夏1勝を挙げた。

 試合後、スカウト評価同様に自己評価は「100点満点」と思えば、「(第3打席の)三振が悔しかった。次は全部、打てるようにしたい」と貪欲に語るあたりもプロ向きだ。「目標は全国制覇ですが、一戦一戦、目の前の試合を強い気持ちで臨む。最後まで一番、長い夏にしたいです」。小園の目は、野球少年のようにキラキラ輝いていた。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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