今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 最後を締めたのは板東英二
今回は『1963年9月16日号』。定価は40円だ。
セが風雲急を告げてきた。独走していた巨人が9月1日から2位
中日との直接対決で3連敗(後楽園)。ゲーム差3と肉薄した。
1日はダブルヘッダーで
河野旭輝が2試合連続決勝弾。2日の試合では先発が
権藤博で、最後を締めたのが、現タレントの
板東英二だった。
ヒジ痛もあった坂東は、この年からほぼリリーフ専門となった。
中日・
杉浦清監督は「うちはいま、すごい気迫を持っている。巨人に対しては戦う前から自信があった」と胸を張る。
個人打撃部門は
長嶋茂雄が3部門トップ。一番僅差がホームランで34本は
王貞治の33本と1本違いだったが(9月1日現在)、打率でジワジワとONの牙城に迫っていたのが、
広島の遊撃手・
古葉毅だ。
スイングは極端なダウンスイングで、いわゆる大根切り。どんな球でも右に運び、足でヒットを稼ぐタイプだった。
古葉は言う。
「自分でも驚くほどバットが振れている。最近はピッチャーが警戒して素直な球を投げてくれなくなった。しかしカーブなんかはかえって打ちやすいですから」
パは南海が独走し、9月1日現在で2位西鉄には8.5ゲーム差、
8月26日には、西鉄は8対0とリードしながら同点にされ、最後は延長10回、
稲尾和久が投手の
米田哲也にサヨナラ弾を浴びた。
さすがの
中西太監督も、
「今度、何年監督をやっていくか知らんが、おそらく生涯忘れることのできない敗戦記念日になるだろう」
とほぼ優勝をあきらめたかのようなコメントをしている。
以前尻切れトンボとなった北海高・
吉沢勝投手の二重契約問題は、まだ解決していない。
阪急・岡野代表は「うちに契約上の手落ちはない。巨人の言いなりにはならないよ」と言いながらも、
「ただ両球団の政治的工作で解決するかもしれない。一度吉沢君をうちの球団に入れて、そののちにトレードで巨人に譲るということだ」
とも話している。
では、またあした。
<次回に続く>