週刊ベースボールONLINE

2018甲子園

「早くゲームがしたい!!」。決勝へはやる気持ちを抑え切れない大阪桐蔭・根尾昂

 

決勝での先発が有力視


決勝進出を決めた大阪桐蔭・根尾は、史上初となる同一校2度目の春夏連覇へ「あと1勝」に迫り、はやる気持ちを抑え切れない様子だった


2018年8月20日
第100回=準決勝
大阪桐蔭(北大阪)5−2済美(愛媛)

 大阪桐蔭が「王手」をかけた。済美との準決勝を制して4年ぶり5回目の決勝進出。史上初、同一校で2度目の春夏連覇をかけて、明日は金足農(秋田)と対戦する。

 大阪桐蔭はセンバツを含め、過去7回(夏4回、春3回)の決勝で負けた経験がない。つまり、銀メダルを手にしたことがなく、頂上決戦で無類の強さを発揮している。西谷浩一監督は「明日勝たないと意味がない。2年分の思いを背負って戦いたい」と意気込んだ。

 昨年も春夏連覇をかけて戦ったが、仙台育英との3回戦で敗退(8月19日)。休養日となった昨日19日の練習で、指揮官は「あの悔しさをもう一度、思い出してやろう」と結束力を高めて、この日の準決勝を戦った。背番号1を着けるエース・柿木蓮が155球を投げ、2失点完投。連戦となる決勝へ向けて、一人で投げ切ったのは大きな意味がある。

 明日の先発投手が有力視されるのは、背番号6を着けた根尾昂だ。沖学園との2回戦を8回4失点で勝利投手、浦和学院との準々決勝は5回2失点と試合を作っている。1回戦が柿木、3回戦が左腕・横川凱、そして、準決勝の先発が柿木であったから、ローテーションで中2日の根尾というのが、定石どおりの起用と言える。

 試合後、根尾はいつもどおり、落ち着き払っていた。準決勝も2安打を放ち、今夏の甲子園で計17打数8安打、2本塁打、2打点と打撃面でも五番打者は好調をキープしている。

 根尾も西谷監督と同様「昨年は負けているので、この舞台(決勝)には立てていない。あと一歩。昨年の先輩の分も、明日は勝ちたい」と気を引き締めた。

 報道陣との受け答えで、根尾は感情を表に出すことはほとんどない。だが、この日、繰り返していた言葉は「早くゲームがしたい!!」とはやる気持ちを抑え切れなかった部分だ。

 相手の金足農は準決勝まで5試合、一人で投げ抜いてきたエース・吉田輝星を軸に、一戦一戦、力をつけて勝ち上がってきた。それだけに、根尾の警戒感も強まる。

「打ち崩すのは難しいかもしれないが、打線全体で『圧』をかけて、大黒柱に真正面からぶつかっていきたい」

 そこで、こう語気を強めた。

「相手の強みをつぶす。そうすれば、負けにくくなり、こっちが力を出しやすくなる。勢いを止めるのは難しいかもしれないが、守備からリズムを作っていくのがウチの野球」

 そのターゲットはもちろん、吉田である。そして、もう一つ、甲子園の雰囲気を受け入れて戦う必要がある。地元近畿の大阪桐蔭とはいえ、金足農は東北勢初の悲願がかかるだけに、スタンドが独特のムードとなることが予想される。実際、準々決勝(対近江)、準決勝(対日大三)とも、金足農は完全に観衆を味方につけていた。

「(相手に観客の後押しは)想定されることです。そうなったときにいかに、全員でカバーしていけるか。やれることをやる。やれないことをやっても、できるはずはない」

「この1試合で終わる」覚悟


 負ければ終わりの高校野球。根尾はいつも「この1試合で終わる」覚悟で戦っている。

「準決勝は、決勝のつもりで戦った。明日、もう1試合、決勝ができるくらいの気持ちです。国体を抜きして、明日が最後の試合。勝って終われるようにしたい」

 2年春、3年春のセンバツで胴上げ投手となった根尾。第100回記念大会で、投打に加えて遊撃手の「三刀流」が、歴史にその名を刻むか。

「早く次の試合がしたい!! 早くやって、勝ちたいです!!」

 全国3781校の頂点まであと1勝――ボルテージは高まるばかりだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング