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週刊ベースボール60周年記念企画

稲尾和久は立派な大エース!/週べ1963年10月21日増大号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

鶴岡一人監督の怒り


表紙は巨人王貞治



 今回は『1963年10月21日増大号』。定価は10円上がって50円だ。どうも増大号が増えている気がする。定価改定の前兆か。

 驚異の逆転劇がフィナーレを迎えようとしている。
 10月5、6日と平和台で首位南海との直接対決に連勝した西鉄は、南海との差をわずか0.5とした。一時は14.5ゲーム差があったのだから凄まじい。

 5日の試合の先発はヒジ痛(肩痛の記事もあった)で戦線離脱していた稲尾和久が好投し、勝利。試合後、捕手の和田博実は、
「稲尾をほめてやってください。指を痛めていたんです。精神力で投げていたんですよ。彼は立派な大投手です」
 と興奮した声で話していた。

 当の稲尾は、いつものとおり飄々。ただ、「指が痛いなんて理由にならんしな」と言いながら見せてくれた人差し指は、内側が赤く腫れ、皮が1センチくらいむけていた。
 翌6日は田中勉安部和春の完封リレー。完全に西鉄に勢いがある。

 南海・鶴岡一人監督は、記者の悲観的な質問に対し、「あほ、まだ分かるかい。がっくりは来たが、今度は大阪がある。みとってみい!」とほえた。

 セは巨人が優勝への秒読み態勢になり、最大の注目は巨人・長嶋茂雄広島古葉毅の首位打者争いとなっていた。

 10月6日には、両軍の直接対決があったが、8回表終了時点で長嶋が.3429、古葉は.3431。その後の打席で古葉が凡退し逆転されたが、わずか10分ながら古葉は首位打者に立った。

「いい当たりがみんな安打になって幸運です。このあとはただベストを尽くして首位打者を狙いたい」 
 古葉は笑顔で語った。

 北海高の吉沢勝は、コミッショナー裁定で巨人入りが決定した。
 阪急、巨人の二重契約でもめていた選手だ。

 詳細は前も書いたので省くが、
 要は未成年の吉沢の親権は母親にあり、母親の同意なき、阪急の契約書は効力を発揮しない、という判断だった。
今回の裁定文をすべて掲載はできないが、内村佑之コミッショナーはかなり細かく検証。極端に巨人びいきというわけではない。

 両球団の契約書にサインしてしまった吉沢の優柔不断な態度を叱責する個所もあった。

 では、また月曜に。
<次回に続く>

写真=BBM

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