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西鉄・中西太監督、涙の胴上げ/週べ1963年11月4日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

南海・野村克也は恐怖の? 胴上げ


表紙は南海・野村克也



 今回は『1963年11月4日号』。定価は40円だ。

 10月20日、ついに14.5ゲーム差をひっくり返して西鉄ライオンズの優勝が決まった。
 決定は近鉄とのダブルヘッダー第2試合だったが、試合前の話題は30歳の青年監督、中西太の体重だ。
 登録は95キロだったが、実は110キロらしいと聞き、選手たちが「胴上げで上がるかな」「つぶされたらたまらんな」などと話していたらしい。
 もちろん笑顔で。

 胴上げの後、ロッカールームに戻った中西監督は大声をあげて泣いた。一時は優勝絶望と言われ、退任のウワサも流れた。選手としては故障で思うように試合に出場できないことを随分叩かれた。いつも冗談でかわしていたが、本当は悔しかったのだろう。

 一方、敗れた南海・鶴岡一人監督は、
「こんなことになったのは私にも責任があるが、今度の場合は若干選手にもその責任の一端がある気がする」
 と語った。
 勝手な見方だが、「すべて私の責任」と言いきらなかったあたり、鶴岡の情熱がややなくなりかけているのでは、と思った。

 すでに優勝を決めていた巨人は、長嶋茂雄王貞治ら選手11人による座談会に出席。最後は1958年、あの3連勝から4連敗となった対西鉄日本シリーズの話になっていたが、長嶋は、
「ことしは中西大先生があんまり出ないもんね。怖くないよ」
 と語っていた。

 10月18日、優勝を逃した南海で胴上げされたのが、野村克也だ。日本新記録52号本塁打を打った試合後である。ナインではなく、グラウンドになだれ込んできたファンに胴上げされ、最後、野村は「もうやめろ、やめてくれ」と言いながらロッカーに逃げ込んだ。かなり怖かったらしい。
 それでも会見の席では笑顔。
「自分には出来すぎの記録だ。入った瞬間はやっぱり胸がいっぱいになった。きょうの記録は技術ではなく、気力で打てたんだ。とにかく打てたことは、このうえない喜びだ」

 もし混乱していると申し訳ないので説明を。
 この連載は日を定休日としているが、実際には日曜に書いて、記事アップの時間設定を月朝にしておくことがほとんどだ。
 今回「10月28日号」分もそうしたのだが、間違えて設定を日曜の日付にしてしまい、それがその時間どおり、つまりは過去の記事のようにアップされてしまった。
 まだ消えてはいないので、興味ある方はさかのぼってご覧ください。

 では、今度こそ、またあした。
<次回に続く>

写真=BBM

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