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U-18侍ジャパンリポート

常に平常心――高校日本代表でもスキが見当たらない根尾昂

 

大阪桐蔭・根尾は自チームに続き、高校日本代表でも副将を任される。常に落ち着いた言動は18歳の高校生3年生とは思えない


 9月3日に宮崎で開幕するアジア選手権で、高校日本代表を率いる永田裕治監督は図らずも「持っている男」宣言をした。

 その対象は、大阪桐蔭・根尾昂と報徳学園監督時代の愛弟子・小園海斗である。8月28日、大学日本代表との壮行試合で、根尾は三塁打を含む2安打、小園は日体大のドラフト1位候補・松本航(4年・明石商)から右越え本塁打を放った。金属バットから、木製に持ち替えて実戦2試合目。永田監督からの「ボールを見ず、振ってタイミングを合わせる」という指示に従い、150キロに迫るストレートにも力負けしないスイングを披露したのだ。

 第2打席に放った根尾の打球(中越え三塁打)にいち早く反応したのは、一塁ベンチから見届けた大学日本代表・生田勉監督(亜大監督)だった。

「(慶大時代の)高橋由伸選手を思い出した。インパクトの瞬間のパン! というバット音に、非凡さを感じました」

 根尾の良さは、多岐にわたる。ある在京球団のスカウト幹部は「どんな状況でも平常心。しかも、この多くのお客さん(この日の観衆は2万5018人)が見守る中でも、結果を残し続ける。長丁場のプロで活躍するには、技術プラス精神力は必要な要素」とあらためて惚れ込んだ様子だ。

 なぜ、平常心を維持できるのか? それは入念な準備にある。根尾は常に先々を見ており、何においても、誰よりも行動が早い。今回の高校日本代表における移動の中でも、荷物運びを率先し、雑用も買って出る姿勢が随所に見られる。予測して動いているから、慌てない。根尾は学校生活における勉強にも、手を抜かない優等生。18歳とは思えない落ち着きに、スキは見当たらない。

 高校日本代表では、大阪桐蔭に続き、中川卓也主将をサポートする副将(根尾のほか、浦和学院・蛭間拓哉、日大三・日置航の計3人)を任されている。本来ならば、チームリーダーを務めてもおかしくないが、副将という立場が根尾のキャラクターを、むしろ際立たせる。一歩引いた視点からチームを見られる存在は大きい。「このチームは発展途上。1日、1日で成長していきたい」と語るなど、発言力が日に日に増している。当然のことながら、リーダーシップ旺盛な主将・中川の前に出ることは絶対にない。この二人の絶妙な距離感が、高校日本代表の生命線となっている。

 8月27日の立大との練習試合では救援登板、28日の壮行試合は「五番・右翼」で先発し、8回からはリリーフ登板。そして29日の明大との練習試合では「四番・右翼」で出場した。本来のポジションは遊撃手であるが、小園がいるため、今大会は外野と投手での「二刀流」が濃厚と言える。「調子の良い選手を使っていく方針がある。どこに回るか? 与えられたところで結果を出す」と頼もしい。今後も、根尾のプレーから目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=大泉謙也
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