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U-18侍ジャパンリポート

高校日本代表の根幹を支える裏方の存在

 

「仲間意識を植え付けたい」


高校日本代表の「総務」として、チームの動きすべてを取り仕切る佐々木氏。大会期間中は多忙を極めたが、敏腕ぶりを発揮している


 第12回BFA U18アジア選手権に出場している高校日本代表チームには「総務」という役職がある。野球部でいう「責任教師」の立場であり、選手18人を束ねる重要任務である。

 岩手県高野連・佐々木明志理事長がこの大役を務めている。今大会と来年のU-18W杯(開催地未定)を率いる永田裕治監督(報徳学園高前監督)と同様、佐々木総務も「2年任期」となっている。

「初めての仕事ですけど、日の丸を背負って戦う仲間意識を植え付けたいと日々、考えています。良い経験をさせていただいています」

 水沢高、早大でプレーし、卒業後は地元・岩手に戻って保健体育科の教諭として県内の各校で野球部の監督を務めた。2013年からは盛岡工高に勤務し、岩手高野連の事務局長を経て、17年に理事長に就任した。

 2011年の東日本大震災当時は高田高の監督だった。未曾有の災害と向き合い、生徒・父兄・地域とともに困難を乗り越えてきた。

「今夏は西日本豪雨、16年には熊本地震と全国各地で災害が相次いでいますが、当時、支援していただいたことを思い出しながら、こちらへ来ました」

 期間中の4日に台風21号、そして6日には北海道で地震が発生した。「アジアNo.1」を決める大会ではあるが、被災地の方たちのことを思うと、気が気でない。だが、今は目の前の仕事に集中するしかない。

「健康管理、スケジュール管理など、チームがスムーズに動くことができるように準備して、行動に移したい。今回の18人はやはり、ジャパンですね。各々がしっかりしており、手のかかるところはありません」

 16年のアジア選手権(台湾)と17年のW杯(カナダ)で高校日本代表の「総務」だった福岡県高野連・野口敦弘理事長は今大会、運営スタッフとしてかかわっている。

「理事長会議等、大阪で会う機会があり、2、3回相談を受けました。基本的には試合までは修学旅行の引率教員、ゲーム中はスコアラー。道具は全員で手分けをして持ち運ぶなど、アドバイスをさせていただきました。私のときは海外という不慣れな環境でありました。今回は日本開催ということですが、(チームにいた)日本高野連のスタッフも運営サイドに入っており、必然的に佐々木先生の仕事量は増えていると思います。宿舎ホテルでの対応など、いろいろ苦労されていると思います」

 今大会は初めて「球数制限」が適用された。スコアボードに表示されるとはいえ、スコアブックに記入する佐々木総務こそが、生の情報。永田監督の横で1球1球を書き込んだ。日々、仕事に追われている姿が印象的も、多忙な素振りを見せることは一切ない。

 日本高野連・竹中雅彦事務局長は「一言で言えば誠実。きめ細かい。気を配れる。永田監督とは同級生で、大変な仕事ではありますが適任だと思います」と全幅の信頼を寄せる。

 裏方が盤石であれば、チームの土台は揺るがない。永田監督との「1963年生まれコンビ」が、高校日本代表の根幹を支えていく。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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