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U-18侍ジャパンリポート

吉田輝星の口から飛び出した「大学」という言葉

 

「大学」か「プロ」か二者択一


中国との3位決定戦の「雨天中止」を受けて、木の花ドームで練習する金足農高・吉田の下に、同校・中泉監督(左)が激励へ訪れた


 第12回BFA U18アジア選手権(宮崎)に出場している高校日本代表チームは9月9日、中国との3位決定戦が中止。明日10日に順延となった。中止決定を受け、日本は約90分間、木の花ドームで公式練習を行っている。

 この日は金足農高・中泉一豊監督が激励に訪れた。吉田輝星と接触する場面もあり、練習後は、そのやりとりについての質問が飛んだ。

「ボールの違いについて聞かれましたが、特に問題ない、と答えました。(不慣れな環境で)気苦労についても、心配してくださった」

 前日は、渡辺元智氏(横浜前監督)から指導を受けた。甲子園通算51勝の名将は今夏、金足農高が見せた「ひたむきさ、泥臭さ」の姿勢を称賛した上で、今大会でも実践してほしいと話した。当事者の吉田にとっても「原点回帰」の機会となったばかり。「そういうタイミングで監督が宮崎に来て、明日(の3位決定戦)は金農の一員らしく臨める」と、恩師からも、選手として大事な部分を再認識した。

 吉田の関心事と言えば「進路問題」である。秋田勢103年ぶりの準優勝を遂げた甲子園決勝後は「いずれはプロで」と、言葉を濁していた。その後、地元へ戻ってからの取材対応では「好きな球団」を明かすなど、周囲はヒートアップするばかり。大会期間中は、その話題もやや薄まっていたが、吉田が「知らなかった」という中泉監督の突然の訪問によって「進路問題」が再燃している。

「今後について話はしたか?」との質問に対して「していないです」と即答。話し合いは大会後であるかを確認すると「秋田でゆっくり話す時間もなかった。帰ってから、そこで決めると思います」と話した。今夏の県大会開幕までは「大学進学」で固まっていたとされるが、今夏の甲子園での大活躍を経て、自身の取り巻く環境も激変している。吉田は「まだ、固まっていない」と言うが、大学とプロの二者択一から絞り込むと見られる。

 この日の一連のやり取りの中で、吉田の口から「大学」という言葉が飛び出してきた。今大会の「収穫」を問われたときである。

「大学とか次の世界へ進んだとき、アップテンポの試合ではない。1球、1球の間合いも大事になる。自分は早いテンポが持ち味でしたが、(今大会を通じて)間(ま)を取る投球にも慣れたかな、と思います」

 大きな意味はないかとは思われるが、「大学進学」が念頭にあったことをうかがわせる発言に感じた。いずれはプロへ行くため、大学4年間を過ごすか。それとも「いずれ」とは、高卒のタイミングなのか――。金足農高は9月30日からの福井国体に出場するが、開幕までには結論を出す予定となっている。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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