週刊ベースボールONLINE

編集部コラム「Every Day BASEBALL」

天然キャラでも常に前を向く阪神・馬場皐輔

 

日々、課題を見つけ成長しつづける馬場。来季は先発ローテ入りを目指す


 関係者の方からは「あいつは天然系ですよ」と聞かされていた。実際に話を聞くと、質問の答えとは少しズレる。しかし、その答えの中身は、内容のあるものばかり。その選手は、今季阪神のドラフト1位で入団した馬場皐輔投手だ。

「ドラフト指名されて、入団が決まってからキャンプが始まるまで、すごく楽しみにしていたんです」

 大卒1年目であれば、即戦力投手として大きな期待を懸けられる。こちらも「一軍のマウンドに上がって投げられることが楽しみだった、という意味ですか」と聞き直した。だが馬場は「どんなすごい打者いるのか、すごい投手がいるのか、この目で見ることができるからです」と。高校(仙台育英高)時代も大学(仙台大)時代も2年生まではエースではなかった。そこから目標を立てて1つひとつクリアし、エースへとなり、阪神のドラフト1位入団を果たした。

 だからこそ、自分の実力よりもはるか上にいるライバルたちとの差を肌で感じ、自分が今何をしなければいけないのか、を知ることができることを楽しみにしていたのだという。実際に一軍キャンプでその差をすぐに感じ取り、課題が見つかった。

 その課題と連動し投球フォームを変え、6月21日のオリックス戦(甲子園)で一軍先発デビュー(6回1失点)。この登板でも課題を見つけ、一軍レベルの打者をしっかり抑える投球を身に付けることを意識した。8月12日のDeNA戦(横浜)に2度目の先発。このときは2回2/3、4失点で降板。「本当の意味で、一軍のレベルを身に染みて感じました。今のスピードだと抑えることができない。ベース盤の上で力のある真っすぐを投げていかないといけないです。そのためにはもっともっと練習が必要だと感じました」と。

 負けて悔しいのは当然だが「毎日課題が見つかることで、次の日の目標ができます。プロ野球選手になったからこそ、そういうことが味わえるんです」と笑顔で答える馬場の目は常に前を向いている。今季は一軍の戦力になれなかった。だが、プロ野球選手でいることに感謝し、課題を克服することにまい進することができる才能がある馬場だからこそ、阪神の先発ローテション投手として活躍できる日がくるのは、そう遠くないだろう。

文=椎屋博幸 写真=大泉謙也

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング