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ベースボールゼミナール

足が速くなくてもベースランニングが速くなる方法は?/元巨人・鈴木尚広に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は走塁編。回答者は“足”のスペシャリスト、元巨人鈴木尚広氏だ。

Q.足が速いことと、ベースランニングが速いことは同じですか。足がそこまで速くなくてもベースランニングが速くなる方法を教えてください。(山梨県・12歳)



A.正しいベースランニングを身に付ければ足が遅くても速くベース一周を走ることが可能。


巨人現役時代の鈴木尚広氏


 足が速いことと、ベースランニングが速いことは同じではありません。なぜならベースランニングは50メートル走や100メートル走のように一直線で走るわけではないからです。ベースを中心にターンすることが求められ、この際のコーナーリングと、走路の位置取り(ベースへの入り方)がとても大事。これを普段の練習から意識して身に付つけることができれば、例えば50メートル走では負けるような相手よりも、ベース一周を速く駆け抜けることが可能です。

 ベースランニングで難しいのは、ランナーの体に遠心力が働き、真っすぐに走っているつもりでも、体が外に外に逃げていき、いつの間にか大回りをして大きなロスをしてしまうことにあります。ベースまで一直線に走って直角にターンし、これを一塁、二塁、三塁と繰り返せば距離的には最短ではありますが、実際には不可能。では、どうすればいいか。まず大事なのがベースへの入り方(進入角度)で、私は4つのベースを通過する1つの円を頭にイメージし、その上を走るのがベストだと思います。

 ただし、それでも遠心力はかかってしまいますから、特に「1」ベースに入っていくとき、「2」ベースの角を踏むとき(左足でインフィールドの内側にある角を踏む)、「3」ターンしてベースから抜け出た直後に、しっかりと体を内側に倒し、遠心力の影響を受けないようにする技術も身に付けてください。

 その際のコツとして、ベースを“使ってあげる”ことが大切です。アマチュアの選手を見ていると、ベースをただ踏むだけで通過してしまう選手が多いようですが、それではもったいない。ベースを踏むと同時にここに力をかけて次のベースに体を向けるように方向転換をし(体をグッと傾けることができます=遠心力の影響を受けづらくなります)、さらに次の一歩への加速装置(イメージとしては陸上短距離のスターティングブロック)として使ってあげられるとベストです。

“機動破壊”でお馴染みの健大高崎高が面白いメニューを取り入れていて、ダイヤモンドよりも小型の円を描いて、その上を走る練習をしていました。体を内側に傾けるクセを身に付け、ベースへの入り方がスムーズにすることを目的としたものですが、質問の方がいま持っている脚力で、最大限のパフォーマンスを引き出す良いトレーニングだと思うので、試してみてください。

写真=BBM

●鈴木尚広(すずき・たかひろ)
1978年4月27日生まれ。福島県出身。相馬高から97年ドラフト4位で巨人入団。走塁のスペシャリストで、代走での通算盗塁数132は日本記録である。16年現役引退。現役生活20年の通算成績は1130試合出場、打率.265、10本塁打、75打点、228盗塁。
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