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ドラフト会議物語

【ドラフト会議物語20】最大の注目は早実の荒木。外れ1位で斎藤が巨人へ【1982年】

 

今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

のちの犠打世界記録男も


市川口高時代の斎藤と内山清監督。内山清監督は元阪神の投手だった


1982年11月25日
第18回ドラフト会議(ホテル・グランドパレス)

[1位選手]
ヤクルト 荒木大輔 (早稲田実)
南海   畠山準  (池田高)
大洋   大畑徹  (九産大)
ロッテ  石川賢  (日大)
広島   西田真二 (法大)
阪急   榎田健一郎(PL学園高)
阪神   木戸克彦 (法大)
近鉄   加藤哲郎 (宮崎日大高)
巨人   斎藤雅樹 (市川口高)
日本ハム 田中富生 (法大)
中日   鹿島忠  (鹿児島鉄道管理局)
西武   野口裕美 (立大)

 1位指名で競合は3人だった。まずは甲子園のヒーロー・荒木大輔をヤクルトと巨人が競合し、ヤクルトが相馬球団代表の「黄金の左手」で引き当てた。外れ1位で巨人が指名したのは、甲子園には縁がなかった右の本格派・斉藤雅樹。入団後は伸び悩み、一時は野手転向プランもあったが、サイドスローに転向し、のち巨人の大黒柱になる。

 荒木は86、87年には開幕投手となっているが、その後は故障に苦しみ、奇跡のカムバックで92年のVに貢献。高校時代のエリート的な道ではなく、不屈の闘志で雑草だらけの道を進み、存在感を示した。

 ほか立大の野口裕美が中日、阪急との競合で西武へ、法大の田中富生がロッテ、広島との競合で日本ハムが交渉権を獲得した。田中は通算28勝を挙げたが、野口は故障もあって一軍未勝利に終わっている。

 1位で目立ったのは、現在はPL学園高出身者だ。阪急の榎田健一郎とともに、法大に進んだ甲子園優勝バッテリーが広島の西田真二、阪神の木戸克彦。高校時代、投手だった西田は大学で外野手に転向していた。

 ほか南海は野手転向後、開花した畠山準、近鉄には「ロッテより弱い」発言で話題となった加藤哲郎、中日の中継ぎ・鹿島忠、ロッテは2年目の84年に15勝を挙げた石川賢と、渋い個性派が多い。

 2位以下にも西武の2位が黄金時代のユーティリティー・笘篠誠治(上宮高)、阪急3位が84年の新人王捕手の藤田浩雅(関東自動車)、日本ハム3位が83年の新人王・二村忠美(九州産交)、南海5位がニャンコこと藤本修二(今治西高)、中日5位がガッツマン・彦野利勝(愛知高)、6位がクロマティにぶつけた男・宮下昌己(日大三高)らがいる。

 そして、いぶし銀世代とも言える、この年の象徴が巨人4位の川相昌弘(岡山南高)だろう。高校時代は投手でプロ入り後、野手に転向。巧打堅守の内野手で535犠打の世界記録をつくった。

 中日3位の市村則紀(電電関東)はこのときすでに2人の子どもを持つ30歳の父親で“ドラフト史上最高年齢選手”と話題になった。

<次回に続く>

写真=BBM
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