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相手はソフトバンクに。広島は日本シリーズをどう戦う?

 

日本シリーズ初戦の先発が予想される大瀬良


 今季の日本シリーズカードは、広島ソフトバンクに決まった。この両チームが日本シリーズで対決するのは初めてだ。一昨年、昨年と悔しい思いをし、悲願の34年ぶりの日本一を目指す広島にとっては、手強い相手が勝ち上がってきたと言えよう(まあ、セ・リーグは最近、日本シリーズでも交流戦でもほぼやられっぱなしなので、パ・リーグの代表がどこであろうと手強いのだが……)。今回はカープ側の立場から、日本シリーズをどう戦っていくか、を展望してみたい。

 ちなみに、交流戦のこのカードを振り返ってみると、カープは1勝2敗。オリックスに3連敗し、かなりチーム状態としては悪いときに当たっているとはいえ、負け越している。初戦は大瀬良大地が3発を被弾し敗戦、第2戦は先発のジョンソンは好投したものの、2番手の今村猛がつかまり逆転負け。第3戦にようやく打線が爆発し13点、この大量点に守られて、九里亜蓮がプロ初完投勝利を挙げ、チームの連敗を止めている。

 偶然だが、この3連戦のカープの先発3人は、順当なら日本シリーズでもこの順で第1戦、第2戦、第3戦と先発するであろう3人だ。まあ、たった1回の対戦結果をそれほど重く見る必要はないかもしれないが、とりあえず、どちらにもデータと対戦した感触は残っていることになる。そういう意味では、3人がヤフオクドームのマウンドを今季経験していることと、ジョンソン、九里がそれほどソフトバンクに対して嫌なイメージを持っていないであろうことは心強い。

 大瀬良の場合は、ローテーションから行くとヤフオクドームでの登板可能性は高くないが、マツダ広島でもいかに相手の一発攻勢を警戒しつつ、持ち味のストライクゾーンで勝負するピッチングを展開できるかというところがポイントとなる。クライマックスシリーズではこの3人は状態がよかったので、期待したいところだ。

 その後の先発は、第4戦は野村祐輔が有力だが、第5戦はやや苦しくなる。クライマックスシリーズでは、シーズン中のローテーション投手の岡田明丈を中継ぎに回して成功しているだけに、そのパターンは踏襲する可能性が高く、そうなると中村祐太あたりが先発してくることになるか。

 そしてもう一つ、やや不安が残るのがリリーフ陣だ。おそらくは一岡竜司フランスア中崎翔太のリレーを基本に、疲労度を見ながらジャクソン永川勝浩を交ぜていくことになると思うが、クライマックスシリーズでは、ジャクソンと中崎の調子がいま一つだっただけに、どこまで調子を上げられるか。さらに左の中継ぎに人材がいないのがつらいところ。試合中盤のピンチで柳田悠岐を迎える展開、などというときにつぎ込むワンポイント投手がいない。実績のさほどない投手から抜てきするか、あるいはそれこそ岡田のように右でも強い球を投げられるリリーフをぶつけるか。ここはちょっと見どころだ。

 攻撃陣のほうは、さほど心配はないと見る。DH制のあるゲームへの対応も、左なら松山竜平西川龍馬、右ならバティスタまたはメヒア新井貴浩というメンバーからファーストとDHを選び出せばいいので、特に問題はないだろう。甲斐拓也の強肩をかいくぐって、持ち味の機動力を発揮できるかも一つのカギ。

 ソフトバンクは、今季故障者が多くいただけで、ここに焦点を合わせてメンバーがそろってくればやはり選手層は厚い。広島としてもなかなか単純比較で優位、ということは言えないが、ただ、広島には、精神的には間違いなく相手を上回れるものがある。それは、「日本一になって新井さんを送り出そう」というチーム一丸のムードだ。競り合いとなり、最後に気持ちの勝負になったときに、そこが支えになってくれるのではないか。ファンとしては、その辺にも期待を持ちたいところだろう。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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